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平成29年2月定例会(第8日) 本文
平成29年2月定例会(第8日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2017-02-08
    平成29年2月定例会(第8日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(中尾 正幸君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。井上順吾君。(拍手) *井上(順)議員質問 2 ◯五十二番(井上 順吾君)登壇 おはようございます。このたびは、自民党福岡県連政調会長としての立場で、会派代表質問の機会をいただいた自民党県議団の井上順吾です。よろしくお願いいたします。  それでは、これより質問に入ります。  まず初めに、平成二十九年度本県当初予算案をめぐる諸問題と、県政に対する小川知事の基本姿勢についてからただしてまいります。本二月定例議会に提案された一般会計当初予算案は、総額一兆七千二百億円余、対前年度比八百十七億円余の減、率にして四・五%の減と、一見大きなマイナス予算となっております。しかし、新年度から、義務教育県費負担教職員の給与費のうち政令市区域分が県から福岡、北九州両市に移譲された影響が大きいと推察されます。仮に教育費が前年度同額となれば、二十九年度地方財政計画で見込む伸び率とほぼ同じ約一%の伸びになる計算です。政令市に移譲された給与費の影響を除くと、当初予算案の実質的な伸びは実際どの程度なのか、緊縮予算と呼べるものか、この点についてまず知事の認識をお聞きします。  また、限られた財源の中で県民幸福度日本一と財政健全化の両立を図るため、具体的にどのような工夫を凝らし、予算案にはどのような形で成果が出ているのか説明ください。  次に、歳入面では、実質的な県税収と言える県税と地方消費税清算金を合わせた額が、対前年度比マイナス三・三%、二百八十億円余も減少する計上となっています。地方交付税も二百八十億円余の減少、地方譲与税で五十億円弱の増収見込みですが、一般財源の最も中枢部分で五百億円以上の減少になります。このような大幅な一般財源の減少を一体どのように受けとめ、当初予算案の編成に取り組まれたのか、減少理由とあわせてお尋ねします。  国の二十九年度一般会計予算案では、平成二十六年度以来、三年度にわたって続いてきた対前年度比一兆円以上の大幅な税収増を期待できなくなっています。二十八年度対比〇・二%、一千億円余の微増、税収総額は五十七兆七千億円余が計上されるにとどまりました。この国税収見込みさえ、一兆七千億円余の減額補正を余儀なくされた二十八年度第三次補正後予算との対比で見れば三・三%、一兆八千億円余の大胆な税収増、急速なV字回復を見込んでいる計算になります。小川知事は、政府の経済見通しとそれに基づく国の税収見込みをどのように評価されているのか、急速なV字回復を見込む新年度の国税収入の確保が本当に大丈夫だと考えているのか、率直な見解をお尋ねします。  本県の新年度県税収入についても、来週にも提案が予定される二十八年度の二月補正後の額と比較してどのような増減率になるのでしょうか。当初対比では大幅減を見込んでいるとはいえ、過大計上になっている心配はないか、国税収入の動向などによっては当初計上額の確保すら危うく、さらに下振れする事態も想定し得るのか、知事の基本認識をお尋ねします。あわせてこの際、ことしの本県経済、景気の動向をどのように見通しているのかお尋ねします。  ところで、県税収入見積もりの懸念は、一年前の平成二十八年度、要するに今年度当初予算案の審議の際にもありました。当時、我が会派は、円高進行の影響もあって陰りを見せる我が国経済の状況を踏まえると、政府の国税収入や地方財政計画の見通しは甘いのではないかと心配し、県税収入の予算計上額が確保できるか知事にただしたところであります。このとき知事は、地方財政計画に依拠することなく本県の実情に即し、税目ごとに適切に算定しており、当初予算を確保できると明言されました。ところが、昨年十二月の県議会では、平成二十七年度決算額を上回るものの、当初予算額の確保は厳しい見通しだと答弁されています。昨年二月議会の答弁はどこへ消え去ったのでしょうか。近く最終補正ではどんな減額になるのか、この際、責任ある説明を求めます。  それにつけ、最近、極めて危惧されますことは、財政運営をめぐる小川知事の発言であります。平成二十七年度県税収入の見通しでも、一昨年十二月議会で当初予算を七十億円程度上回ると豪語されていたのが、昨年二月議会では一億円程度にとどまると発言を大きく修正され、見積もりの甘さを露呈しました。そして驚くべきことは、原油価格の下落が想定以上に大きく、その影響で地方消費税が期待したほど伸びなかったと淡々と言いわけをされていたことであります。見積もりの甘さの責任を痛感しているようには到底見受けられませんでした。税収見通しだけにとどまらず、県債残高や基金取り崩しをめぐっても同じ傾向が見受けられます。県の通常債残高は、平成二十五年、二十六年度と二年続けて対前年度減少額が三百億、四百億円台で推移しました。これに対して、平成二十七年度決算では減少額が七十二億円と格別大きく落ち込みました。そこで、昨年九月議会の我が会派代表質問で、財政当局が三年連続で県債残高の減少と胸を張るのは庶民感覚からいって少し恥ずかしくはないかと疑問を呈したところであります。しかし、知事は、国の交付金終了と公共事業の拡充を理由に挙げただけであります。そこには、県債残高を真摯に減少させようとする強い意欲が少しも感じられませんでした。  また、忘れもしません。昨年二月に策定された二十八年度当初予算では、財政改革プランの主たる目標でもあった三基金の取り崩しに頼らない予算編成がついに達成されたと県民に高らかに宣言されました。果たして、いかがであったでしょうか。急激な円高によって輸入品に係る地方消費税の大幅な減収が見込まれるため、歳入不足を補うため財政調整基金等三基金の取り崩しが避けられず、来週にも提案が予定される県一般会計補正予算案では、三基金の一つ、減債基金から百億円余も取り崩して歳入不足を補われるようです。二十八年度までに三基金の取り崩しに頼らない健全な財政運営を実現するという財革プランの主たる目標は今回もまた達成できず、県民を欺いたことになります。  一方、よくよく深く考えてみますと、この三基金は本来、各年度の財政の好、不調を年度間でならす機能を持った基金でもあります。したがって、財源不足を招いた際には、基金で補うことは当然予想されるところであります。にもかかわらず、あえて、取り崩しに頼らないを目標に掲げた意図は何だったのでしょうか。確かに、貯蓄に依存しない家計運営は、大変耳ざわりのいい言葉でありますが、果たして健全かどうかが示されているとは限りません。一体どんな財政状態の実現を前提にされた目標だったのでしょうか。詳細にお答えください。  そこで気がかりなのが、今後五年間を計画期間とする行政改革プラン並びにこの行革プランに基づく新財革プランについてであります。我が会派の再三の提言を踏まえ、五年以内にプライマリーバランス、つまりは政策的経費を新たな借金に頼らず、その年度の税収で賄うことですが、これを黒字化すること、またプランの計画期間終了年度の三十三年度末における通常債残高を、本年三月末に比して八百億円程度圧縮することを主な目標にしているようであります。本当に五年後にこうした目標が実現できるのでしょうか。どのような成算があってプライマリーバランスが黒字化できるのか、平成三十四年度以降も黒字化が持続できる見通しが立っているのか、そこに至る考え方の道筋をわかりやすく説明してください。あわせて、その根拠となる具体的な試算経過も説明願います。  さらに、県債残高の圧縮規模についても同じように、そこに至る道筋を説明してください。  また、これらの目標達成のためには具体的にどのようなハードルを乗り越える必要があるのか、率直で揺るぎのない、責任を持った知事の答弁を求めるところであります。  次に、行革プラン関連ですが、県有財産の有効活用並びに有機的運用について、プランではどのような構想を描かれているのか。昨今、公有施設の活用、再生、再利用等に向けては各自治体とも英知を絞っているようです。行革プランにおける本県の今後の見通しをお示しください。  さらに、この際、下関北九州道路についてもお聞きします。我々は、この下関北九州道路を本州と九州をつなぐ新たな幹線道路ネットワークとして整備することで、周辺地域の自治体との連携道路として、また企業誘致や新たな観光地の拠点として、広域的な交流、連携が強固になるとともに、安全、安心な生活環境が向上されるのではないかと考えます。この下関北九州道路の実現に向けては、国を初め各関係機関が連携して調査、検討を行ってきましたが、平成二十年に海峡横断プロジェクトに関する国による個別調査が事実上凍結されました。下関北九州道路のような新たな道路整備は、地域の熱意なくして中央に伝えることはできないと考えます。そのため、昨年九月議会において下関北九州道路の早期整備に係る必要な調査実施を求める意見書を採択し、国に提出いたしました。さらに、昨年十二月議会では、下関北九州道路福岡県議会議員連盟を立ち上げ、この道路の早期実現に向けた強力な推進体制を整え、昨年十二月二十一日に、議員連盟、二県二市、地元経済界が一体となって国に要望に行きました。  そこで知事に質問いたします。福岡県議会議員連盟を立ち上げ、国にも要望を実施してきましたが、今後、下関北九州道路の早期実現に向けてどう取り組んでいくのか知事にお伺いいたします。
     さて、県下の防災体制と危機管理体制の構築、並びにこれに関連し市町村消防の充実強化について知事の基本的な認識と姿勢をただします。知事は、現在、平成二十九年度を初年度とする新たな県総合計画、いわば原案を策定され、今議会に提案されています。昨年四月の熊本地震や、本県にもたびたび大きな被害をもたらした近年の集中豪雨災害などを考慮すれば、大規模災害に対する県の防災、減災対策と九州一体の広域連携の充実強化は喫緊の課題であります。当然、新計画の重要な柱の一つになっているものと拝察しております。  そこで、大規模災害対策と広域連携についてどのようなことをプリンシプルとし、いかなるグランドデザインを描かれているのか、その概念を福岡県の危機管理のトップとして、まずお示しください。  このことを冒頭あえてお聞きしますのは、一歩間違えば、つまり発生時間がいま少しずれていたならば、多数の死者を出したかもしれず、大惨事にも発展しかねなかった福岡市の博多駅前の市営地下鉄工事陥没事故に際し、県行政における最高の危機管理者とも言うべき知事の対応に少なからぬ疑問、不信の声が寄せられているためであります。これは政令市の地下鉄工事で起きた事故だから県はかかわりを持たぬ、では済まぬ問題です。改めて、発生直後から収束までの間に知事はどのような対応をとられたのか、また自己評価として十分だった、あるいは県民からの批判は避けられず極めて反省を求められるものと自己評価されているのか、真摯にお答えください。  また、この際に、危機管理のみならず庁内の情報管理についてもただしておきます。と申しますのは、この二月議会で知事の二十九年度事業予算案を審議していくわけですが、一月に入るや、低所得者層の学童保育利用料の減免、森林環境税の継続、宿泊業への多言語通訳電話サービス開設から副知事人事までが報道されています。経済産業省では今以上に情報管理を厳格化していくとのことですが、本県の情報管理の現状に心配とともに、何よりも議会軽視との疑念を生じさせます。これらの事案についての知事の感想と今後の対応をどうされるおつもりかお尋ねします。  次に、これまでの検討状況を概観しましても、災害時に実動部隊となる県警の災害対応能力の向上施策については、装備資機材の整備充実、警察施設の耐震化、老朽化対策などには言及がありますが、災害時とりわけ初動時に各地域の安全を守るため欠かせない市町村消防の体制強化について余り言及されていないようですが、いかがでありましょうか、見解をお示しください。  もちろん、救急や防災を含む地域の消防力の充実強化が、一義的にはまず基礎自治体である市町村の責務であることは私たちもよく理解しております。しかし、県下市町村の消防本部には財政力脆弱な零細団体も多く、人的、物的体制の整備に県の指導や支援が不可欠であることは言うまでもありません。近年、被害が巨大化する状況に鑑みますと、消防本部や消防署など施設の耐震化を進めるとともに、消防関連車両、水利、消防緊急通信指令システムなど装備資機材を充足し、日ごろから最新鋭の状態に維持することが大変重要になります。  そこでまず、県下の消防施設の耐震化や老朽化対策の現状はどうなっているか、消防力の整備指針に照らして消防関連の車両や装備資機材の充足率はどうか、これらの装備資機材は適切に更新されているのか、これらの点についてお尋ねします。  また、市町村消防の体制強化に向けた県の基本施策はどうあるべきか、それを新たな総合計画に明確に位置づけられるべきだと考えます。原案においてどのような見通しとなっているのか知事の見解をお尋ねします。  次に、この際、さきに公正取引委員会から設備新設や更新の際の入札談合を糾弾され、六十数億円にも及ぶ莫大な課徴金の納付と排除命令を受けたことで国民の目を引いた、市町村消防本部が行う消防緊急通信指令システム、いわゆる消防指令台システムについてもただしておきます。消防指令台システムは、御存じのとおり、火事や救急、災害時の一一九番通報の受け付け、本署、分署に対する消防救急車両の瞬時の出動指令などを行い、さらに出動車両への無線指令や病院を初め関係機関とのワンタッチ連絡なども可能にするシステムと聞いています。国の方針により平成二十八年五月を期限として消防救急無線がアナログ方式からデジタル方式へ全面移行が進められた際には、総務省消防庁の指導によって、消防指令台システムとデジタル化された消防救急無線システムとの間で、アナログ時代の音声通信接続に加えてデータ通信接続も可能となるよう求められました。こうして、平成二十七年度末までに消防救急無線デジタル化移行は全国全ての消防本部で完了したと聞いております。  しかしながら、その後仄聞するところによりますと、総務省消防庁が作成、指導した消防指令台システムとの接続方法を定める共通仕様書の定めがデータ通信接続については曖昧で理解しにくいため、各消防本部での具体的な接続仕様は接続受注企業に委ねられ、加えてその接続仕様は企業経営に関係するセンシティブな情報として他企業に情報開示されていないのが現状のようです。このため、消防本部で消防救急無線のデジタル化を終えた後、消防指令台システム部分の更新時期を迎えて新たな指令台システムの入れかえに競争入札を実施しても、データ通信接続部分の仕様は接続受注企業しかわからなかったようですから、その企業が指令台システムの入札に参加すれば、当然、他企業に対し価格面で有利な地位を占めることになります。いわば、無線接続の仕様をつくり変える必要がないためであります。また、消防本部も、入札に当たって接続部分の取り扱いは入札参加者間で調整するよう指示するだけのようです。これでは競争入札に透明性の確保や公正競争の促進を求めても入札は形骸化し、落札価格が高どまりしても問題意識も低く、適正化を図ることは難しいと、大変危惧されます。去る二月二日、公正取引委員会から世界有数の情報通信企業を含む数社に対して課徴金の納付命令と排除措置命令が出されたのも、こうしたことを糾弾しているわけであります。対象企業の中には、消防指令台システムの世界で大きなシェアを占めている企業も複数含まれます。  本県下でも近年、筑後地区においては、各消防本部の指令システムを久留米市消防本部の指令台システムに統合し、また福岡地区においても福岡市消防局に統合する方針があるように、毎年どこかの消防本部で指令台システムの更新が行われ、これからもあるものと思います。最近更新した消防本部では、消防救急無線デジタル化対応と同時に行った本部が多いかもしれません。しかし一方、指令台システムの前回更新から長期間経過し、新たなシステムへの更新に迫られている本部も幾つかあるものと推察されます。  そこで、指摘した問題に照らし、政令都市二市を初め県下市町村消防本部の指令台更新の競争入札の実態はどうなっているのか、特に今後の入札ではどんな方針で臨むようにすべきか、市町村を指導する立場にある知事の認識をお尋ねします。  また、今後、消防救急無線とは別に消防指令台部分の更新を近々迫られる消防本部が想定されます。落札価格の高どまりを防ぎ適正な価格で整備を図るためには、消防救急無線データ通信接続に関する消防庁の共通仕様をもっと明確化する必要があります。接続を受注した企業に対し接続仕様の情報開示を求める仕組みの検討も必要ではないでしょうか。全国的な課題ではありますが、県下市町村消防の体制強化と九州一体の消防連携を一層促進する観点から、県知事としても国に対して早急に善処を求めるべきだと考えます。知事の認識と今後の取り組み方針をお尋ねします。  次に、県下におけるマイナンバー制度の現状とこれらの課題について、小川知事の基本的な考えや姿勢をお尋ねします。一昨年十月にマイナンバー法が施行され、昨年一月よりマイナンバーカードの発行が開始されました。本年は、いよいよ本格運用が始まります。昨年十二月の集計では一千二百二十五万枚の申請がなされ、九百七十一万枚が交付済みとなっているようですが、昨年春先、カード発行事務を担う地方公共団体情報システム機構で交付事務の混乱、停滞を招いた影響もあり、当初の計画を下回っていると仄聞するところです。  そこでまず、本県におけるマイナンバーカードの交付状況について、スムーズに進んでいるのか、計画どおりでないならどこに問題があるのか、知事の認識をお尋ねします。  マイナンバーカードをもっと広く普及させるためには、カードの使用によって各種住民サービスの効率化と質的充実が進むことを住民がはっきり実感できることが重要になります。現状では、政府や自治体によって、マイナンバーが自分にとって何かしらよからぬことに使われ、プライバシーが侵されるのではないかと疑念を抱く市民は少なくありません。私の身辺にも少なからずおられます。そこで、政府では、住民票や印鑑証明、税証明などのコンビニ交付サービスや、マイナポータルを活用した子育てワンストップサービスなどについて、全国の市町村での推進を求めています。マイナポータルとは、マイナンバー制度の一環として設けられる個人ごとのポータルサイトの一般名称とされているようです。行政機関が有する一定の個人情報の内容やその利用状況などが、携帯端末などを通じてその個人に限って閲覧できるようになります。運用が開始されたばかりですが、本年七月からは本格運用されると聞いています。  このポータルサイトを活用して、児童手当、保育、母子保健、ひとり親支援などの手続をワンストップでできるようになれば、カード普及への大きなステップとなるでしょう。また政府では、マイナンバーカードを使ってクレジットカード会社、航空会社、携帯電話会社などで活用できるようにする構想なども進められています。これらの構想が全国の市町村で実現できれば、住民の日常生活はもっと便利で快適なものになるでしょう。一方、マイナンバーカードを図書館の貸し出し券として利用する場合などには、現在三通りの方式があるようで、方式が複雑でわかりづらい、無駄ではないかといった声も聞かれます。いずれにせよ、マイナンバーカードを活用した種々のシステム構築に要する経費やその便益がどうなっているのか、IT企業向けの公共事業だと批判を招かないように、国や自治体は国民が納得する説明責任を果たしていく必要があります。  そこで知事にお尋ねします。このような政府の動きに対して、本県や県下市町村がどんな対応を講じてきたのか、また進める上でどのようなことが課題となっているのか、住民への説明を含め全体的な取り組み状況についてお尋ねします。  また、政府がモデル事業方式でこれらの構想を推進するなら、本県の自治体においても住民の理解を得た上で率先して取り組み、全国自治体の先導役となることが、地方創生を強力に推進する上でも重要だと考えます。知事の考えと姿勢をお尋ねします。  さらに、本年七月からは、マイナンバーを使って、複数の行政機関の間でそれぞれ管理している個人情報を相互に利用し合う情報連携のシステムが開始されると聞いています。全国の地方自治体も参画することになっています。この情報連携によって、例えば各種福祉関係の申請に必要とされる住民票や課税証明書などの添付書類が不要となります。予定どおりのスケジュールで情報連携が開始されるのか、そのため本県として市町村にどのような指導をしてきたのか、本格稼働前のリハーサルなど十分に準備ができているのか、計画期日が半年足らずに迫ってきただけに、いささか不安であります。知事の基本認識と対策についてお尋ねします。  次に、大牟田リサイクル発電事業についてただします。ごみを固形燃料化して発電を行う大牟田RDF発電事業について、事業閉鎖の方針が明らかにされています。このRDF事業に参画した県内外合わせて十四の市町は、現在も一般廃棄物をRDFで処理しています。また、このRDF事業が画期的だったのは、安定したごみの量を求めて、県外、熊本県の市町にも参加を求め、県境を越えて一部事務組合ができたことであります。にもかかわらず、わずか二十年間で事業を終了することになったわけであります。ごみ処理問題で苦労してきた市や町が、RDFに頼らずともみずからの力で解決できるようになったのでしょうか、また大牟田市のエコタウン事業は、RDF発電をやめても、それにかわる新たな中核事業があるのでしょうか、甚だ疑問であります。  そこで、この問題についての知事の認識や、県としての今後の対応について質問させていただきます。  一点目は、大牟田リサイクル発電事業の事業目的についてであります。この事業は当時、ダイオキシン対策が格段に厳しくなったためと聞いています。ダイオキシンは八百度以上の高熱で二十四時間連続で稼働している焼却炉でないと処理できないと、当時説明されていたようです。つまりは、小さな市町村単独ではごみの量が足りず、高熱処理も二十四時間連続燃焼も不可能なため、県の主導、それも専ら当時の知事のイニシアチブで、この事業の開始となったと聞いていますが、いかがでしょう。当時、職員にはRDFについて何ら認識がなかったというのが専らのうわさでした。また、今日ではRDFのようなやり方、すなわち高熱、連続燃焼ではなくとも既存の炉でダイオキシンを処理できるようになったとも聞いています。いかがですか、状況を説明願います。こうしたことを確認することで、今回の県の決断が妥当であったのか、やむを得ない決断であったのかを判断する必要があると考えます。  二点目は、同事業からの県の撤退は、当初の目的を達成できたと判断しているためなのか、あるいは時代の推移によって当初の目的自体が消滅したからなのでしょうか。それとも事業のパートナーであった電源開発が手を引き、それにかわる新たなパートナーが見つからないため、やむを得ず撤退するという結論に至ったのか、真相をお聞かせください。  三点目に、事業からの撤退の直接の契機となったと言われる高額の施設改修費についてであります。もともと、どのような設備であれ、時間の経過とともに機器の修繕や更新が必要になることは当然であります。RDF発電施設は、一般に採用されているごみ焼却施設と比べ、修繕費などが特に割高になるといった特別な事情があったのでしょうか。企業経営においては、利用料金を設定するに当たって、将来発生するであろうコストを盛り込んで積算を行い、利益の一部を企業内部に留保して機器の更新や修理等に備えるのが通例のようです。事業開始当初、あるいは平成二十五年に三十年度から五年間の事業延長を決めた際には、多額の改修費用が必要になることを想定していなかったのでしょうか、お答えください。  次に、県の姿勢についてであります。まず、当初、県が市町村に事業への参画を呼びかけた際には、いつまで県が責任を持って処理する約束になっていたのでしょうか。事業には県が責任を持つので、市や町は、安心して県についてきてほしいというのが県の方針ではなかったのですか。県としては、二十年間にもわたり市町村を支援してきたと胸を張っておられるのですか。それとも参加市町村には迷惑をかけていると、内心じくじたる思いを強く持っているのか、知事の気持ちもあわせてお聞かせください。  五点目に、事業に参加している自治体に対するこれからの県の支援についてであります。平成三十四年度をもって事業から撤退すると発表したわけです。このため、事業に参加している十四の市や町は、平成三十五年度から新たな方法でごみ処理を行う必要に迫られることになります。この二十年間に市町村合併が行われて、焼却施設を有する市と合併したことで自前での処理が可能となったところも幾つかはあると聞いていますが、事業に参加している自治体の多くは、これから新たな処理方法を模索しなければならないことになります。ごみ処理は自前で処理するという原則があり、ほかの自治体のごみを処理することに対しては施設周辺の住民の抵抗が大きく、委託先が容易に見つかるかは疑問です。RDF発電事業の終了によって自前での処理が困難となった場合、ごみ処理の委託について仲介をする考えをお持ちでしょうか、お答えください。  さらに、幸いにも処理してくれる委託先が見つかったとしても、RDF化してしまうと燃やした際に高温になり過ぎて炉を傷めるという理由で、RDF化する前の生ごみの状態で持ち込むよう求められると、RDF化施設は無用の長物となり、どのように処分するかといった問題が生じる可能性もあります。どの施設も国の補助金を受けて整備した施設ですので、補助金の返還などの問題は生じないのでしょうか。このように数多くの課題に対して、県は市町をどのように支援していくのでしょうか、お答えください。  最後に、今回の県の方針決定に当たっての見通しの悪さ、撤退理由の一つに、想定外のごみの減量により、事業を維持していくだけのRDFを集めることが困難になったことが挙げられています。ごみの減量化は地球規模での温暖化対策や最終処分場の延命化といった観点からも不可避な流れでありました。事業開始当初から見込むべき要素であったと思い、不明を恥じるべきです。本当に想定外の減量であったのか、当初の見込みからどのくらいの減量化がなされたのか、この件についてはこの事業を発案した当時の知事、つまりは前知事がごみ減量化についてどのような見通しを持っておられたのか、そのことも含めてお答えください。  一体に前知事は、事業終息に当たっては、その見通しの悪さを県民にわびることもなく、素知らぬ顔であったことが多かったと聞いています。今回のケースが、鳴り物入りで県民にPRされたギガビットハイウェイ事業と大変よく似ていることをあえて指摘しておきます。  また、減量化が避けられない中で、一定の発電量を維持するための努力はされたのでしょうか。例えば、RDF発電に参加していないが、一般廃棄物をRDF化して処理している自治体が、県内には幾つかあります。これらの自治体に参加を促してみたのでしょうか。それとは別に、廃材や廃プラスチックなど、その性質が一般廃棄物と類似の産業廃棄物をRDF化して、あわせて処理をする、あるいは間伐した木材や伐採した竹をチップ化したものをRDFのかわりに燃料として焼却して発電量を確保するといったことは検討されなかったのでしょうか。今回の事業撤退を回避するために県が努力したのであれば、どのような努力をしたのか、お答えください。  次に、保育行政関連で、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育について伺います。提案されています新年度県予算の中には、低所得世帯を対象に放課後児童クラブの利用料を減免する市町村に対し、新たに県が支援を行うための費用が計上されています。県が国に先駆けてこうした制度を創設することは、子供の貧困対策の充実強化策として、それなりに評価できるものと考えます。もともとこの学童保育は、我が国が高度経済成長していく中で、共働き家庭の増加や核家族化が進展する過程で、地域の保護者たちにより、共同で鍵っ子を預かろうという動きが自然発生的に盛んになり、各地で発足したと聞き及んでいます。その後、全国の学童保育に従事する団体が結集し、強く国に働きかけを行ったことで、ようやく平成九年の児童福祉法改正により制度化され、放課後児童クラブと名称も改まりました。ひとり親世帯や共働き世帯など放課後に大人が家にいない家庭にとっては、今日ではなくてはならない存在となっているようです。  しかしながら、この事業における減免の対象は、生活保護世帯と市町村民税非課税世帯に限定されたものになっているようです。また、児童福祉法の定めにより戦後間もなく制度化された保育所とは、その生い立ちから相当な格差が見られ、その差は今もって縮まっておりません。一例を指摘すれば、法改正後も統一的な設置、運営基準は定められず、自治体に整備義務も課されていなかったことから、入りたくても定員オーバーで断られたり、公民館の一角や粗末なプレハブづくりの建物で運営されていたりなど、質、量ともに多くの課題を抱えてきたのが実態であります。  また、質について問題を残しています。子ども・子育て支援制度によりクラブの大枠は定められましたが、単なる預かりに終わっては、クラブの役割は半分も達成されたことにはなりません。いかに子供の健全な育成に資することができるかがクラブの本来の目的であります。そのためには、スタッフの資質や能力の向上が何より重要であります。  そこで、子ども・子育て支援新制度の本格スタートに伴い、放課後児童支援員の資格が定められ、各クラブにはその配置が義務づけられているようです。支援員になるためには、県の研修を受講し、認定される必要があると聞いています。しかしながら、支援員の待遇は、小学校教員はおろか保育士よりも低いと言われており、重い責任を求められる支援員へのなり手が少ないという話も聞こえてきます。  そこで、まずお聞きしますが、本県における支援員養成は順調に進んでいるのでしょうか。県における支援員養成研修計画の概要並びに今年度の養成状況についてお答え願います。  あわせて、現在、クラブに従事されている支援員やスタッフの給与水準、雇用形態の状況、さらには今後の処遇改善についてどういう見解を持っておられるのかについてもお答えください。  次に、放課後児童クラブは市町村事業であり、県は補助する立場ですから、減免対象の拡大が実施自治体にそれなりの財政負担を招くことになることは理解していますが、既に一部の市町村では就学援助世帯なども減免対象としているのが県下の実情でもあります。したがって、今後県が減免対象世帯を広げれば、それに応じて制度を充実させる市町村もふえると判断しています。  そこで、いろいろな課題や問題を抱えている県民の方々に寄り添い、できるだけ多くの子供たちが放課後児童クラブに通うことができるよう、さらなる県補助の拡大を図るべきと考えますが、知事の所見をお示しください。  次に、待機児童対策関連で今年度から導入された企業主導型事業所内保育事業についてお尋ねいたします。まず初めに、本県内での過去五年間における雇用保険法に基づく事業所内保育事業の取り組み実績及びその実績に対する評価について知事の答弁を求めます。  国では、雇用保険法に基づく、いわゆる従来型の事業所内保育事業について、平成二十八年四月一日以降新たな受け付けを停止しています。他方、平成二十七年度から本格実施された子ども・子育て支援法に基づき、地域型保育の事業所内保育事業なるものが導入され、また今年度からは、冒頭に申し上げた企業主導型事業所内保育事業が開始されております。新たに導入を検討している一般企業にとっては非常にややこしく、戸惑いの声も聞かれるところであります。  そこで、この三つのタイプの事業所内保育事業の違いやメリット、デメリットなどについて、わかりやすい説明を求めます。あわせて、従来型の事業所内保育事業がなぜ受け付けを停止したのかについてもお答え願います。  さて、この新たに導入された企業主導型保育事業ですが、国はこの事業に八百三十五億円の予算を投じ、二年間で五万人の受け入れ拡大を目指す計画であると聞いております。この事業について、企業や支援者、保育関係者などからさまざまな意見が我が会派にも寄せられています。特に多かったのは、従来型の事業に比べ整備費も運営費も格段に手厚くなっているというものでありました。逆に言えば、従来型を導入している企業にとってみれば、不利な扱いを受けることになっているということであります。そのほかにも、この事業を所管する内閣府から委託を受けた公益財団法人が事業採択事務を有しており、かつ企業は市町村や県を介さず直接事業申請できることから、果たして保育の質が確保されるのか、またこの事業を突破口として保育事業への営利企業の参入が進むのではないかという意見もありました。  そこでお尋ねします。この企業主導型事業所内保育事業について、小川知事はどのような評価をお持ちでしょうか、率直にお答えください。  昨年十一月には、この事業を周知、推進するため、所管課主催によるセミナーが開催されたと聞き及んでいます。その際の出席者の意見や反応はいかがであったか説明ください。  察するところ、この事業は企業が主体となっておりますから、都市部での取り組みがメーンになるものと考えられます。本県で考えれば、福岡都市圏での取り組みが主に想定されているのではと思います。そこで、現在までの県内企業による応募及び採択の状況、並びにその地域的特性、規模及び従業員とそれ以外の子供の内訳の状況などの運営内容についてお答え願います。  また、そのような状況について知事としてどんな感想をお持ちなのでしょうか、率直にお答え願います。あわせて、全国の状況についてもお答えください。  ところで、今議会に提案されている新しい行革大綱案に定められた具体的な改革事項の一つに、都市部の総合庁舎の建てかえに合わせた事業所内託児施設の設置の検討が織り込まれています。新規性や目玉に乏しい今回の行革大綱ですが、その中でいささか異彩を放っているように感じました。県職員のための託児施設は旧県庁にもあったようですが、いつの間にか姿を消しました。それが今回復活したのは、職員組合からの提案でもあったからなのでしょうか。託児施設復活の理由やそのコンセプトについて知事の考えをただします。  次に、農林水産問題についてただします。  まず、農林水産振興基本計画についてであります。本県では、我が会派の提唱により、平成二十六年に農林水産業・農山漁村振興条例が制定され、この条例に基づく初めての基本計画が今議会に提案されております。今年度を最終目標年度として平成二十四年に策定された現行の農業計画では、農産物のブランド品目数や農産物の輸出額、新規就農者数といった十四の施策目標が掲げられています。目標は、おおむね達成される見通しと聞かされてはいますが、農林水産業をめぐる現実が余りにも厳しく、この程度で大丈夫と言えるのか大いに疑問が残るところです。例えば、新規就農者数は年間二百人を目標としており、平成二十五年から連続で二百人を超えているとされていますが、農業従事者そのものは年々減少しており、ちなみに五年に一度の農林業センサスで見ても、十年前の平成十七年に九万五千人余だった農業就業者が、今日では五万七千人へと激減しています。また、言うまでもなく、高齢化も進んでおります。就業者に占める六十五歳以上人口は六〇%に至っています。また、林業と水産は、目標年度が平成二十九年度と一年おくれてはいますが、今のところ目標に達してはおりません。また、生産者の減少は、集落機能の低下にもつながります。  このような集落機能の低下は、鳥獣被害の増加にもつながります。本県の野生鳥獣による農林水産物の被害は年々減少しているものの、依然として高いレベルで推移しており、深刻な状況にあります。鳥獣被害は、生産者の営農意欲を失わせる大きな要因となっております。県では被害を軽減するため、侵入防止柵の設置や捕獲対策の強化、さらに地域ぐるみでの鳥獣対策の取り組みを推進しておりますが、これも集落に人がいてのことです。さらに、人口の減少により、農林水産業が持つ水源の涵養や県土の保全といった多面的機能の低下も危惧されます。地方創生が課題となる中で、果たして十分な数と言えるのでしょうか。  また、農産物の輸出についても、国は平成三十一年に一兆円の目標を掲げているのに対し、本県が目標にしている二十億円は本当に微々たるものです。水産物に至っては、昨年、シンガポールの日本料理店へ天然マダイなどが食材として提供されていますが、新たな市場開拓の取り組みは始まったばかりであります。和食がユネスコの無形文化遺産に登録され、世界的な和食ブームもあります。国内市場が縮小していくことを考えると、輸出促進の取り組みはますます重要になると考えるところです。  そこで知事に伺います。今回、新たに基本計画が示されていますが、この計画ではどのような対策に焦点を当て、本県農林水産業をどのように導こうとしているのか、またとりわけトランプ大統領の登場で骨抜きにもなりかねないTPPについては、いささかでも危惧される点について、計画の中で少しでも言及されているのかどうか、万が一にも心配が現実のものとなれば計画途中で基本計画も含めた練り直しもあるのかどうか、明確に説明を求めます。  また、計画実現のためには実効性のある予算の確保が重要であることは言うまでもありません。計画実現を目指し、今回の予算はその初年度として、例年と比較して内容的にどこが違うのか。また、農家所得の増大を目指している農協改革の取り組みが進んでいると聞きます。所得増大の取り組みについて、どのような予算が組み立てられているのか、あわせて答弁を求めます。  次に、森林環境税の継続についてただします。昨年九月議会の代表質問において我が会派は、森林環境税を継続して、森林の保全に取り組むべきとの方針であるとの考えを明らかにしています。これに対し知事からは、今後の森林環境税のあり方については、市町村、関係団体、そして県議会、県民の皆様の意見を聞きながら検討していくとの方針が示されていました。  そこで、森林環境税について、今後のあり方の検討状況では、どのような方向性を見出しておられるのか、またあわせて、森林環境税の継続に対する知事の考えを改めてお答えください。  この質問の最後に、食品の安全性を確保する取り組みの一つであるGAP、いわゆる農業生産工程管理について説明を求めます。国は、農産物の生産段階におけるGAPや、食品の衛生管理の国際標準となっているHACCPの普及を進めているようです。また、言うまでもなくイスラム圏への輸出を進める上では、もちろんハラールの認証なども必要かつ欠かせないものになっております。中でもGAPは、農産物の安全性向上のほか、自然環境の保全や働く人の安全の確保などを達成しつつ、持続可能な農業をしていくために、農業者みずからが全ての生産工程において、その実践と記録が求められるものであります。農林水産省においても、我が国の農業生産活動において奨励すべき取り組みを明確化したガイドラインを策定し、GAPの取り組みを推進しています。この結果、野菜や果樹、米などの産地強化計画を作成している全国の四千四百産地の中で、約六割に当たる約二千七百産地がGAPに取り組んでいると聞いているところです。  二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されますが、大会組織委員会は、大会運営に当たっては、環境にできるだけ負荷をかけないことを原則とし、またこれらの取り組みについて客観的に示すことを物品やサービスの供給者に対して求めています。このため、選手村の食事など、大会期間中に選手や関係者などに振る舞う料理に使う食材は、単にGAPに取り組んでいるだけでなく、国際的な食品安全基準であるグローバルGAP等の認証を受けた農産物が、調達基準を満たすものとして検討されているところです。しかしながら、我が国においては、グローバルGAP等の認証を取得している産地や品目はほんのわずかであり、このままでは東京オリンピック・パラリンピックへ国産農産物を十分に供給することができないのではないかと危惧されているようです。グローバルGAP認証等の取得は、東京オリンピック・パラリンピックへの食材供給を可能にすることに加え、農産物の評価向上や、ハラール認証と同様、輸出やインバウンド需要等の国際的流通にもつながり、農家の所得向上が期待されることは言うまでもありません。  そこで知事に説明を求めます。福岡県における、グローバルGAPのような国際基準に対応するGAPの認証取得に向けた取り組み状況と県の支援について、具体的に答弁を願います。  次に、教育問題について、教員の大量採用とその課題についての一点に絞りただします。現在、少子化にもかかわらず、全国的に教員の新規採用者数が拡大しているようです。なかなか理解しにくいことでありますが、これは昭和四十六年からの第二次ベビーブーム世代が、昭和五十年代に入り就学期を迎え始めたことに伴い教員の需要が増大し、それに伴って大量採用された世代の教員が、近年定年退職期を迎え始めたことによるものと聞いていますが、このような事実認識で間違いないでしょうか、冒頭まずお聞きしておきます。  聞くところによりますと、教員の年齢構成は全国的に五十代が多く、三十代、四十代が少ないと言われております。また、平成二十七年度から十年間で教員全体の三九・九%、二十七万六千人もの教員が退職するようです。本県の公立学校教員の年齢構成もこのような傾向にあり、大量退職の時期に突入していると思われますが、その状況はいつごろから始まり、今後どのくらい続くのか、教育長にお尋ねします。  また、このような状況の中、本県の正規教員の割合は今年度、公立小中学校では八七・六%であり、全国で三番目の低さとなっており、地域によっては講師の確保に苦慮していると聞いております。正規教員の割合を高めるためにも、近年新規採用者数を大幅にふやしてきていると聞いていますが、ここ数年の新規採用者数とその競争倍率の推移をお尋ねします。そもそも、なぜこのような低い割合となっているのかについても、あわせて答弁願います。  また、本県の公立学校教員の大量退職に伴い、単に新規採用者数を増加させることは、この年代のゆがみが解消されず、数十年後にも同じような現象を繰り返すことにつながるものと考えますが、このような現象にならないようどのように対応されているのかお聞きします。  当然、認識されているとは思いますが、福岡県警察本部では、かつてこの大量退職期にその対策として、平準化採用とも言うべき方法をとられたことがありました。知事とも十二分に協議され、こうした例を県教委でも検討されたらいかがですか。警察本部でとられた採用方法の評価と県教委での導入の考えについて教育長にお尋ねします。  さて、教員は、採用された後、各学校においてさまざまな経験を積む中で、教員としての豊かな知識や技能などを蓄積していくものと思います。多くの経験と知見を持つ先輩教員から若手教員への知識、技能の伝承により、教員としての使命感や責任感などが芽生え、育てられてきた面も多大であるかと考えます。そこで、そうした知識や技能を伝えてきた先輩教員が大量退職していく世代交代の課題としては、教育実践の層が薄い三十代から四十代の教員に円滑に継承されないことや、組織運営の中核を担う教員が若年齢化し運営に支障を来すことなどが大変心配され、教育の直接の担い手である教員の資質、能力に不安を覚えるところであります。新規採用教員が各学校に配置され、学校が活気にあふれることは大変望ましいことではありますが、その一方で、ただいま指摘しましたように、採用された後の育成が十分に行われなければ、教員の指導力や校務運営能力の低下など、児童生徒への教育に直接影響を及ぼすことになります。本県教育の維持向上を図るためには、今後さらなる教員の養成、研修の充実が必要不可欠であると考えます。  そこで教育長にお尋ねします。国においても、学校関係職員の資質向上を図るためのさまざまな見直し等が行われているようでありますが、本県はかつて県教委と組合、つまりは福教組、高教組との間でまことにエキセントリックな対立を続けた、全国でもまれな教育県ならぬ教育紛争県でありました。このため、単に国に倣って一律の見直しの有効性には、いささか疑義を挟むところでもあります。  そこで、国の見直しとともに、本県のこれまでの教員養成、研修における課題、それに対する今後の見直しの方向性についてその見解をお聞かせください。  最後に、日本遺産認定の取り組みについて述べて、代表質問を終わりたいと思います。  我が会派は、昨年二月の代表質問において、県を挙げて水城跡、大野城跡、基肄城跡の日本遺産認定への取り組みについて要望しました。県教育委員会におかれては、先月上旬に、防人のまなざし~日本最古の防衛遺産・古代山城からみた風景というタイトルで、大野城跡などを主な構成文化財として、文化庁に日本遺産の認定申請をされたと聞いております。六六三年の白村江の戦いでの倭国の敗戦後、玄界灘沿岸にはのろし台が置かれ、警備に当たる防人も配備されました。あわせて大野城などの古代山城が幾つも築かれるなど、筑紫の地は対外防衛の最前線となりました。  ところで、この筑紫の地を守った防人は、はるか東日本から集められた人々でした。彼らは、大野城の頂から眼下に広がる福岡平野と博多湾、そして遠く玄界灘のかなたの唐と新羅の脅威を警戒していたことでしょう。この敗戦によって、日本は唐を見本に中央集権的な国づくりを目指すことにもなりました。当時、古代山城から防人の見た景色は、現在では都市化された風景ではありますが、平和の象徴であり、今も多くの人々を引きつける古代国家形成の原風景と言えると思います。  このように、今回申請された日本遺産は、防人の見詰めた風景をキーワードとして、大野城跡とその周辺の歴史遺産をつなげるものであるとのことです。日本遺産の認定は、本年度においては六十七件の申請に対し十九件が認定されるなど、非常に狭き門となっているようです。ぜひとも、このストーリーが日本遺産に認定され、四王寺山の山頂からの歴史の大パノラマを体感するために、多くの人々がこの地を訪れることを心から期待して、代表質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(中尾 正幸君) 小川知事。 *知事答弁 4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず、当初予算案に対する私の認識でございます。平成二十九年度当初予算につきましては、政令市へ移譲された給与費の影響を除く人件費、社会保障費、公共事業費、行政施策費など政策経費を前年度に比べ百四十七億円、一・三%増額しております。これによりまして地方創生の具体化を進め、本県をもっと元気にしていきたいと、このように考えております。  次に、県民幸福度日本一と財政健全化の両立についてでございます。今回、新たに策定をいたします福岡県総合計画の目標を具体化する施策に重点的に取り組むとともに、財政改革プラン二〇一七に沿っためり張りのきいた予算編成を行いました。歳出面では、事務事業の見直しを行い、重点的に取り組む施策の財源を確保した上で、百八十七件、総額四十七億円の新規事業費を計上いたしております。加えて、公共事業費につきましては、県単独事業費を抑制する一方、事前防災、減災対策を中心に補助、直轄事業費を確保した結果、補助方式の変更により大幅減となります保育所整備費などの特殊要因を除いて四十二億円増額をさせていただきました。歳入面では、通常債の発行を四十三億円抑制したことによりまして、臨時財政対策債を含む県債を十七億円減額をしたほか、個人県民税の徴収対策の強化、県有地の貸し付けなどによりまして二十五億円の財政収入の確保を図っております。  大幅な一般財源の減少についてでございます。県税及び地方消費税清算金についてでございますが、平成二十八年度当初予算編成時に想定できなかった円高の進行によりまして、本年度の地方消費税及びその清算金が二百七十億円程度減収になると見込まれます。現在の円の水準も、当時より高い状況にありますことから、来年度も大きな減収が見込まれるものであります。また、地方交付税につきましては、税収減や社会保障費の増があるものの、政令市へ移譲される給与費の影響が大きいため減少となる見込みでございます。予算編成に当たりましては、これらも踏まえ、事務事業の見直しなど財政改革プランによる改革を実行いたしまして、総額九十七億円の効果を上げましたけれども、それでもなお財源不足が生じることとなりました。御指摘のとおり、本年度は税収の大幅減に伴いまして、最終的に財政調整基金等三基金を取り崩さざるを得ない事態となっておりまして、来年度もやむなく三基金から四十五億円を取り崩し、収支の均衡を図ったものでございます。  政府の経済見通しと国の税収見込みについてでございます。政府の経済見通しでは、雇用、所得環境が引き続き改善をし、経済の好循環が進展する中で、民需を中心とした景気回復によって我が国経済の名目成長率は二・五%程度になると見込まれております。こうした見通しのもとで国税収入は、補正後ベースで対前年度比三・三%増の五十七・七兆円になることが見込まれているところでございます。これらの見込みは、生産、雇用、企業収益を初め緩やかな回復基調が続く現在の景気動向、未来への投資を実現する経済対策などの政策効果、こうしたことを国におきまして総合的に判断をされたものであると考えております。一方で、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要があると考えております。  来年度の県税収入についてでございます。来年度の県税収入は、県経済の見通しを踏まえますとともに、国の税制改正による影響額等を勘案し、六千二百三十八億円を見込んでおります。今年度二月補正後の額と比較いたしますと、一%程度減となっております。  主な税目の算定方法についてでありますけれども、個人県民税は、平成二十八年における給与総額の前年からの伸び率等を踏まえて算定いたしております。地方消費税は、今年度決算見込み額をベースに平成二十九年度地方財政計画における二十八年度決算からの伸び率を勘案して算定をしているところであります。また、法人事業税及び法人県民税のいわゆる法人二税は、県内主要企業に対して実施をしました平成二十九年度申告見込み額の聞き取り調査等に基づき算定をしているところであります。このように税目ごとに算定をいたしておりまして、当初予算は確保できるものと考えておりますけれども、国税収入と同様、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響によりまして、景気が下押しされるリスクがあることにも留意する必要があると考えております。  本県経済、景気の見通しについてでございます。本県経済は、製造業出荷額の約三割を占める自動車が好調なことから、生産が高水準に推移をし、消費は回復基調にあり、雇用情勢も有効求人倍率が過去最高水準で推移するなど緩やかに回復をしております。先行きにつきましても、雇用、所得環境の改善が続く中、企業収益の増加が見込まれるなど景気が着実に回復していくことが期待されます。一方で、米国のトランプ新政権の政策、英国のEU離脱交渉、日米首脳会談で合意された経済対話など不確実な要素もございまして、今後の動向とその影響について注視をしていく必要がある、このように考えております。  今年度の県税収入補正予算についてでございます。今年度の県税収入につきましては、当初予算額六千三百九十五億円を九十二億円程度下回る見込みでございます。この減額補正に至った原因でございますが、地方消費税について、円高に伴い輸入額が減少いたしましたことから当初予算額を九十一億円程度下回る見込みとなっておりまして、このことが大きな要因であると考えております。  三基金の取り崩しに頼らない財政運営についてお尋ねがございました。平成二十八年度までの財政改革推進プランにおきましては、改革の実行によりまして収支の改善を図り、プランの最終年度には財政調整基金等三基金から取り崩しをせずに収支を黒字化する見通しを立てておりました。その状態を、取り崩しに頼らない財政運営としていたわけでございます。三基金からの取り崩し以外の収入で毎年度の収支の均衡を図っていくことは、持続可能な財政運営を目指していく上で意義あることだと、このように考えております。しかしながら、御指摘のように、本年度のような予期せぬ税収減が生じ、三基金の取り崩しで対応せざるを得ない事態も想定されます。したがいまして、今回の新しいプランにおきましては、予期しない税収減や災害発生による支出増などへの対応に必要な財政調整基金等三基金の残高を確保するという目標を掲げ、改革に取り組むことといたしております。  次に、プライマリーバランスの黒字化と県債残高の圧縮についてでございます。  まず、プランにおける今後の県債発行額でございますけれども、通常債につきましては、毎年度の公共事業費など事業費に対する充当可能額をもとに見込んでおります。臨時財政対策債につきましては、毎年度の国の財政状況、またその地方財政対策によってその発行規模が判明いたしますことから、独自の推計が困難でございまして、平成二十九年度当初予算額と同額を発行するものとして見込んでいるところであります。一方、公債費ですが、元金償還金につきましては、現在の償還計画額に、今後の県債発行見込み額に基づく償還予定額を加えまして、利子につきましては、国が試算で用いた利子の見込みに基づきそれぞれ算出をさせていただいております。この結果、プライマリーバランスは平成三十一年度に黒字に、通常債の残高は三十三年度末におきまして二十八年度末と比較して七百八十一億円の圧縮が可能となると見込んでおります。  なお、三十四年度以降のプライマリーバランスの見通しにつきましては、明確にお答えすることは困難でございますけれども、向こう五年間に見込んだ傾向がその後も続くといたしますれば、黒字化を持続できる可能性は高い、このように考えております。  次に、目標達成のための取り組みでございます。県みずからといたしましては、社会資本整備を着実に進める一方、県単独公共事業費を毎年度二%程度抑制することなどによりまして、通常債の発行額及び残高を毎年度確実に減少をさせ、また国に対しては法定率の引き上げなどによる地方交付税の確保及び臨時財政対策債発行額の着実な減少に向け、必要な見直しを求めてまいります。  県有財産の有効活用等についてお尋ねがございました。これまで行ってまいりました太陽光発電のための屋根貸しなど庁舎の余剰スペースの活用、広告枠の貸し付けなどの歳入確保に加えまして、来年度からは、単独庁舎にかかわる改修や増築等に関する業務を集約化をいたしまして、庁舎の維持管理の効率化を図ってまいります。また、都市部の総合庁舎を対象といたしまして、民間の技術、ノウハウ、資金等の活用により、建てかえや維持管理にかかわる費用の削減等を図ることにいたしまして、まずは福岡東総合庁舎及び小倉総合庁舎につきまして、再来年度の事業者公募に向けて準備を進めてまいります。  次に、下関北九州道路の早期実現に向けた取り組みについてでございます。下関北九州道路につきましては、昨年の十二月議会におきまして議員連盟を立ち上げていただきました。その直後、来年度予算編成大詰めの年末でございますけれども、議員連盟の皆様を初め二県二市、地元経済界とともに地域一体となって、より具体的な調査を行うよう国に対して要望を行ったところでございます。議員連盟の設立によりまして、行政と経済界のみならず県議会も含めた我々地域の熱い思いを国に力強くアピールすることができたと、このように考えております。先月の国会で石井国土交通大臣が、今後地域が行う調査に対し国が技術面や予算面での支援を検討する、そのように答弁されましたことは、こうした要望活動の成果であり、早期実現に向けて大きな前進であると考えております。このため、これまで二県二市で道路の整備効果など基礎的な調査を行ってきたわけでございますけれども、来年度から、ルート、構造などの具体的な調査が国も一体となって確実に実施されるよう、今月中にも二県二市、地元経済界、そして議員連盟の皆様方と一緒に、国に対し再度要望を行いたいと考えております。今後とも、議員連盟の皆様方と力を合わせ、下関北九州道路の一日も早い実現に向け取り組んでまいります。  次に、大規模災害対策と広域連携についてでございます。九州・山口地域で大規模災害が発生した場合には、九州・山口各県が連携をいたし、また一体となって対応していくことといたしておりますが、こうした広域連携を効果的、効率的に機能させていくためには、あらかじめ各県で支援、受援両面での体制整備を図っていくことが重要であると考えております。このため県では、庁内に設置いたしましたプロジェクトチームにおきまして、熊本地震の課題とその対応策について、国や九州地方知事会等での検証作業も踏まえ、支援、受援両面から具体的な検討を行い、今月中にその結果を取りまとめることといたしております。その主なものといたしましては、支援面では、私をトップとする全庁的な支援体制の創設、災害発生後直ちに被災地へ派遣し、応急対策に従事をする福岡県災害時緊急派遣チームの創設、それと対象職員に対する事前研修の実施などを行ってまいります。また、受援面におきましては、本県が被災した場合に、国や他県等からの支援を円滑に受け入れるため、県災害時受援計画の策定を進めているところであります。また、県地域防災計画を初め県災害廃棄物処理計画、県災害時医療救護マニュアルなど庁内各部各課が所管をしております計画やマニュアル、それらについても見直し等を行ってまいります。あわせて、防災訓練を実施し、それらの検証を重ねていくことによりまして、災害対応の実効性というものも高めてまいります。さらに、熊本地震のような大規模災害時には、本庁舎三階講堂で防災関係機関と一体となって活動することを想定いたしておりまして、迅速かつ効率的に災害応急活動を行うことができるよう、災害対策本部を含む防災危機管理局を現在の九階から三階へ移設することを検討しているところでございます。  博多駅前の道路陥没事故についてお尋ねがございました。私は、十一月八日の事故当日、政府予算要望で上京いたしておりましたが、早朝、テレビで見て直ちに県庁に連絡をし、事故の報告を受けました。その際、私のほうから、まず被害情報の収集、それから二次災害を防止しつつ被害拡大を防止することが重要である、福岡市との連絡窓口を速やかに開設し、国とも連携して福岡市が必要とする支援をいつでも提供できる体制と準備を整えるよう指示をいたしました。私が上京している間は山崎副知事の指揮のもとで福岡市現地災害対策本部に職員を参加させ情報収集を行うとともに、災害警戒本部会議を県庁内で開催をし、事故の状況の情報共有と今後の対応の協議を行いました。関係部局では、それぞれ福岡市の関係部署に連絡をとり、県が国、この場合九州地方整備局とも連携をいたしまして、資機材の提供などを含めいつでも支援できる体制を整えていることをお伝えしたところであります。私は、九日帰庁いたしまして、直ちに防災危機管理局長から事故の対応状況等について報告を受け、改めて私のほうから、引き続き情報収集に努めること、二次災害の発生を防止しつつ被害拡大の防止を行うこと、国とも連携して福岡市への支援体制を継続をすること、これらを指示したところであります。このように県としましては、できる限りの支援体制を整えておりましたけれども、結果的に福岡市からの支援要請はありませんでした。  今回の事故では、私への事故の発生の報告、また私みずからの現場確認について御指摘がございました。職員に対し、まず第一報を私に入れるようにまず徹底をいたしました。そして現場確認につきましては、現場への迷惑を考えたわけでございますけれども、振り返りますと、現場に迷惑をかけない形で私みずからの目で、速やかに確認する方法もあったのではないかというふうに考えております。今回の事故に対するこれまでの議会の御指摘や御議論を踏まえまして、より一層緊張感を持って危機管理を行ってまいります。  次に、庁内の情報管理についてでございます。これまでも情報管理、議会との関係に十分留意をしてまいりましたけれども、来年度予算編成作業の中で検討しておりました個別事業の予算額、副知事の人事案が議会説明の前に報道されたことにつきましては、まことに遺憾でございます。執行部と議会は、県民福祉の向上、県民生活の安定向上、発展という共通の目標で努力をしているわけでございますので、今後とも情報管理に留意をしながら連携を密にし、共通の目標に向かって県政運営に努めてまいりたいと考えております。  次に、市町村消防の体制強化についてでございます。県といたしましては、防災危機管理体制の強化が重要であると考えており、市町村消防の体制強化に取り組んでいるところであります。消防本部や消防署などの消防施設の耐震化率は、昨年度末現在で九二%となってございまして、全国平均の八八%を上回っている状況にございます。また、施設の老朽化について明確な基準というものはございませんけれども、県内市町村において建設後五十年以上経過をしております消防本部、消防署などの消防施設は五棟ございます。三・四%ございます。これらの施設については、既に耐震化工事を終えておりますものが二棟、施設の建てかえが予定されているものが三棟となってございます。総務省消防庁が定めております消防力の整備指針、これは市町村が目標とすべき消防力の整備水準を示すものでございます。その指針に基づく主な消防車両の当県における充足率でございますけれども、消防ポンプ自動車が八八%、はしご自動車が九三%、救急自動車が八九%とそれぞれなっており、装備資機材については、化学防護服などのNBC災害対応資機材の充足率が六四%となってございます。これらの車両や装備資機材につきましては、こうした充足率の状況も踏まえまして、各消防本部で災害対応に支障が出ないよう更新がなされてきておりまして、今後とも市町村を指導し、計画的な更新を促してまいります。  市町村消防の体制強化に向けた県の基本施策についてでございます。県では、福岡県地域強靱化計画におきまして、市町村消防の充実強化や消防本部、消防署の耐震化を推進方針と位置づけ、市町村消防の体制強化に取り組んできているところであります。具体的には、ことしの四月に開校予定の新消防学校におきまして、屋内訓練場、家屋火災消火訓練施設などを新設をいたしまして、消防職員や消防団員の実務訓練の内容の充実強化を図ってまいります。また、市町村消防本部の消防施設の耐震化、また車両などの設備の新規購入や更新の際には、緊急防災・減災事業債や補助金の効果的な活用等、これらについてアドバイスを行ってまいります。総合計画は、県政の各分野における施策の方向性を示すものでございまして、市町村消防の体制強化につきましては、総合計画の中の市町村の災害対応能力の向上などについて助言等の支援を行いますという記載部分に含めております。具体的な施策につきましては、先ほど申し上げましたように、福岡県地域強靱化計画に従って、しっかり取り組んでまいります。  次に、市町村消防本部が行う消防指令台システムの更新についてでございます。消防救急無線のデジタル方式に対応した消防指令台システムに更新を行ったものは八件ございます。そのうち消防救急無線システムとのデータ通信接続を行っているものが五件、携帯電話回線を活用し消防救急無線システムとのデータ通信接続を行っていないものが三件ございます。御指摘のありました消防救急無線システムデータ通信接続を行っている消防指令台システムの競争入札五件のうち三件につきましては、消防救急無線システム消防指令台システムを一括で発注をいたしております。残り二件につきましては、消防救急無線システム消防指令台システムを個別に発注をいたしました結果、いずれも消防救急無線を整備した業者と同じ業者が落札をしているところであります。  また、市町村が今後入札ではどのような方針で臨むべきか、これについてお尋ねでございますが、ことしの二月でございます、公正取引委員会から発注仕様書等の特定の製造販売業者の仕様が記載されている場合、契約の相手方について発注者が意向をほのめかしていると受け取られるおそれがありますことから、このようなことのないよう留意することについて通知が出ております。また、消防指令台システムの更新に当たっては、消防救急無線システムデータ通信接続を行わずに携帯電話回線を活用する方法もあります。そのこと、これら二点について、県内の市町村消防本部が一堂に会する会議の機会を活用いたしまして、その周知を図ってまいります。  次に、消防指令台システム更新の入札の適正化についてでございます。消防指令台システムの調達に当たり、特定の事業者に依存しない仕組みを構築するため、来年度、総務省消防庁消防救急無線と指令台のデータ接続部分の仕様の標準化について検討をする予定となってございます。県といたしましては、御指摘のように、公平な入札で企業が平等に参加できるような仕様の標準化に向け、早期にその検討が進められるよう総務省消防庁に対して要請をしてまいります。  次に、マイナンバーカードの交付状況についてでございます。本県におけるマイナンバーカードの交付状況は、一月末現在で三十五万六千枚と、国と同程度の当初見込みの約三分の一程度にとどまっております。これは、カード発行事務を担う地方公共団体情報システム機構のシステム障害によりましてカード交付が滞ったことに加えまして、住民の皆さんがカードの利便性を実感できていないことから、カードの発行の申請自体が当初見込みを大きく下回ったことが要因であると考えております。
     この普及に向けた県や市町村の取り組み状況でございます。マイナンバーカードの普及のためには、カードを持つことにより具体的にどういった利便性が得られるか、その住民の方々に理解し、実感をしていただく必要があると思います。県、市町村では、これまで全戸配布広報紙、テレビ、ラジオ等を通じた広報周知に加えまして、公民館で開催されます老人クラブの集まりに職員が直接出向いて説明を行うなど、きめ細かな取り組みを進めてきたところでございます。今後は、各種証明書のコンビニ交付に加えまして、児童手当、保育所入所といった子育てに関する電子申請、情報提供をワンストップで行うなど、カードの利便性をより実感できるサービスに取り組んでいく市町村の拡大を図っていきたいと思います。  マイナンバーカードを利用して買い物などに使えるポイント登録を行う政府のモデル事業につきましては、商店街活性化にも効果が見込まれ、現在、県内の複数の市町村において、その検討がなされているところでございます。県といたしましては、県内市町村に対しモデル事業及びその成功事例というものを広く紹介することに加えまして、ポイント登録の実施に必要な技術的助言を行うことによって、マイナンバーカードの普及拡大を図っていく考えでございます。  情報連携開始に向けた準備状況についてお尋ねがございました。国、地方公共団体等におきまして行政手続を行う際に必要となる個人情報を、マイナンバーを利用して相互にやりとりをする、いわゆる情報連携につきましては、本年一月末、国が示した実施計画において、当初予定どおりことしの七月中に全国一斉に開始することとなっております。県におきましては、これまで情報連携に必要な各種システムの見直し、条例等の規定の整備、職員研修を含むセキュリティー対策の強化に取り組んできましたほか、実施に向けた市町村への技術的助言を行ってきたところでございます。現在、県の主導のもと、ことしの七月の開始に向けまして、県と市町村あるいは市町村同士で実際に情報をやりとりする連携テストというものを実施しているところでございます。今後、県、市町村と国との間で連携テストが予定されておりますことから、国との連絡調整に加え、市町村に対し職員を派遣して技術的助言を行うなど、きめ細かくその準備作業を進めてまいります。  大牟田リサイクル発電事業についてのお尋ねがありました。  まず、県の役割でございます。平成九年の廃棄物処理法改正により、ダイオキシン類の排出規制が強化をされました。当時、ダイオキシン類規制に対応できるような小規模焼却施設がなく、ごみ排出量の少ない小規模な市町村においては、それへの対応が困難でありました。ダイオキシン類排出規制に対応していくためには焼却施設を集約化し、広域処理をすることが有効であったことから、どのような方法が適当であるかを検討するため、県におきましては学識経験者、産業界、行政で構成する廃棄物処理方式検討委員会を設置をし、検討を行いました。その検討の結果、RDFは貯蔵性、輸送性にすぐれ、集約利用が可能であることに加えまして、RDF化施設は焼却工程がなくダイオキシン類の対策が不要で、施設設置についての住民理解が得られやすい、そういったことからRDF方式が有効であること、またごみは有望な熱エネルギー資源であり、効率的な熱エネルギーの回収方法として発電が最も有効であるとの結論を得たわけであります。以上を踏まえて、各市町村にその意向調査を行った上で、旧産炭地域である大牟田地域の振興にも資することから、県が主導してこのRDF発電事業を開始したものでございます。  次に、小規模焼却施設におけるダイオキシン類対策の現状でございます。今日の小規模焼却施設におきましては、焼却物の供給技術、燃焼室の構造、燃焼制御技術の改善などによりまして、ダイオキシン類の対策が可能となってございます。  事業終了の理由でございます。当事業は、当時小規模な市町村が単独で実施することが困難なダイオキシン類の対策、大牟田地域の活性化など、当初の目的は達成されたのではないかと考えております。一方で、さらなる事業延長のためには、施設の老朽化に伴う大規模改修に約五十億円に及ぶ多額の費用を要し、事業参加市町村が負担する処理委託料の大幅な高騰が避けられないことから、昨年十二月に開催をいたしました大牟田リサイクル発電事業の運営協議会におきまして、県及び電源開発、事業参加市町村の総意でもって事業終了の結論に至ったものでございます。  発電所の施設改修費についてでございます。この事業は当初、平成二十九年度末までの十五年間の事業計画となってございまして、その間、大規模改修を実施する計画にはなっておりませんでした。また、二十五年の事業延長決定の際にも、大規模改修の必要がない五年間の事業延長としたところでございます。  事業に関する県の姿勢でございます。当事業は、先ほども言いましたように、二十九年度末までの計画となっており、事業終了の五年前までに施設の状況等を確認した上で事業延長を協議することとなっておりました。その後、事業参加市町村の要望もございまして、二十五年五月の運営協議会におきまして、三十四年度末までの五年間の事業延長を決定したものであります。当事業につきましては、消防法の改正に伴うRDF貯蔵サイロの改修、ごみの減量化に伴うRDF量の減少などによりまして、やむを得ず三回にわたって処理委託料の値上げが必要となり、事業参加市町村の皆様には、関係者間で当初想定できなかった御負担と御迷惑をおかけすることになりました。しかしながら、皆様方の御協力もありまして、当事業の当初の目的でございます小規模焼却施設では対応が困難でありましたダイオキシン類の排出規制についての法改正に対応できたこと、これが一番の成果でございます。その上で、高効率発電による熱エネルギーの回収、地域における約二十名の直接雇用、RDFの運送に伴う雇用の創出など地域の振興にも貢献できたものと考えております。  事業に参加する市町村に対する県の支援でございます。現在、事業に参加をしております市町村が、引き続きRDFの製造を継続する場合には、発電施設以外へのRDFの処理委託を検討する必要がございます。RDFは、セメント工場での利用も可能でありますことから、県におきましては、セメント工場への委託が実現されるよう支援を行ってまいります。また、RDF製造を継続しない場合には、新たなごみ焼却施設を建設をするか、また他の市町村にごみ処理を委託することを検討する必要がございます。県といたしましては、新たなごみ焼却施設の整備計画の策定、国庫補助の確保、ごみ処理の広域化による他市町村の施設での処理に関する調整を行うなど、事業参加市町村のごみ処理に支障が出ないよう、しっかり支援をしてまいります。  なお、RDF化施設の国庫補助金の返還の要否についてでございますけれども、国の規定によりますと、施設が耐用年数を経過した場合、補助金の返還が不要となります。事業参加市町村のRDF製造施設は事業終了の平成三十四年度末にはそれぞれ二十年を経過をし、いずれも耐用年数を超えておりますので、補助金返還が生じることはないと、このように考えております。  次に、当初事業計画におけるRDF量と現実の処理量との乖離でございます。当初事業計画におきましては、事業参加市町村から提出されましたごみ排出量予測に基づきまして、当時施行されていた容器包装リサイクル法による減量化を勘案をし、年間九万九千トンのRDFを処理する計画となっておりました。しかし、実際の処理量でございますけれども、当初予測を下回り、十八年度におきましては八万五千トンにとどまり、二十年度は七万八千トンまで減少いたしました。これは、平成十年の事業計画当時には施行されておりませんでした各種リサイクル法が相次いで施行されましたこと、また事業参加市町村のごみ回収の有料化など、ごみ減量化施策が実施されたことによりまして、ごみの排出量が減り、その結果、RDF量が減少したものでございます。  次に、一定の発電量の維持や事業終了を回避するための県の努力でございますが、平成二十一年度から新たに熊本県阿蘇郡小国町、南小国町にそれぞれ事業へ参加をしていただくとともに、同年度から二十六年度の六年間、築上町からRDF処理を受託するなどRDF量の確保に努めてきたところでございます。また、事業の存続というものを模索するため、県ではRDFと木質バイオマスや産業廃棄物等を混焼することについて検討いたしました。しかしながら、木質バイオマスは現在、有価で取引をされております。また産業廃棄物を混焼する場合におきましても、産業廃棄物処理に伴う収入増では大規模改修に要する経費を賄うまでには至りませず、いずれもRDF処理委託料の大幅増というものが避けられない結果となったわけであります。さらに、国庫交付金を活用するため、現在の第三セクター方式にかわりまして、事業参加市町村による一部事務組合方式、これが事業主体となり、施設の大規模改修を行い事業を継続する案というものも選択肢の一つとして御提案をさせていただきました。しかしながら、RDF処理費というものが現在よりも高額になりますことから、参加市町村の理解が得られず、今回の事業終了に至ったところでございます。  次に、放課後児童支援員の養成についてでございます。平成二十七年四月に施行されました子ども・子育て支援新制度によりまして、放課後児童支援員につきましては、五年間の経過措置を置いて、県が実施をする認定資格研修を修了した者を放課後児童クラブに配置することが義務づけられました。このため八百名の定員で、昨年度からその研修を開始したところでございます。しかしながら、放課後児童クラブの数は年々増加をしております。毎年度、市町村から改めてクラブ数の推計を見直した上で、受講者見込みというものを提出をいただいているところでございます。この調査に基づき、本年度は定員を九百名に拡大をするとともに、来年度につきましてはさらに定員を一千百名に拡大をすることとし、本議会にその必要な予算を提案させていただいているところでございます。今後とも、市町村と十分調整、協議をしながら、放課後児童支援員を養成をしてまいります。  次に、その待遇についてお尋ねがございました。本県の放課後児童クラブに従事をされておられます職員のうち、約二割を占める常勤職員は、一日約六時間勤務をし、その給与は月額で平均約十六万円となってございます。また、約八割を占めておられます非常勤職員は、週三日から四日の勤務で日給五千円から六千円程度、毎日三時間から四時間の勤務で時給八百円から九百円程度など、さまざまな勤務形態となってございます。国におきましては、クラブ運営に必要な職員の確保という観点から、クラブ運営費補助基準額の基礎となります人件費単価を来年度引き上げる予定でございます。さらに、放課後児童支援員の勤続年数、研修実績、職責に応じて賃金改善を行う場合、その費用を新たに助成することといたしております。県におきましては、これら国の補助制度も十分活用いたしまして、実施主体であります市町村とも協力をしながら、放課後児童クラブに従事をしていただいております職員の処遇改善を進めてまいります。  次に、放課後児童クラブ利用料減免事業についてでございます。この事業は、多くの市町村が利用減免を行っております生活保護世帯及び市町村民税非課税世帯を対象とし、市町村の負担を軽減をするものでございます。県といたしましては、現在この減免制度を設けております市町村が約六割にとどまっておりますことから、まずはこの事業を創設することによりまして、この減免制度が全県下に拡大されるよう取り組んでまいります。あわせて、国に対しましては引き続き、放課後児童クラブ利用料減免制度というものを国の制度として創設するよう要請をしてまいります。  次に、雇用保険法に基づく事業所内保育事業の取り組み実績と評価でございます。過去五年間における本県の事業所内保育事業実施数は、平成二十三年度は二十四件、定員五百三十八名となっております。その後最も多かったのは二十六年度の四十五件、八百十九人でございまして、直近の二十七年度は三十九件、六百九十三人となってございます。事業所内保育所につきましては、出産、子育てによる離職が減少した、あるいは子供が近くにいるので安心して働ける、そういった評価がある一方で、整備費、運営費への助成額が少なく、事業実施にかかわる企業の負担が大きいことから、企業の取り組みは必ずしも進んでいないという課題があるというふうに認識をいたしております。  この事業所内保育事業のタイプ別の違いと従来型の事業所内保育事業の受け付け停止についてお尋ねがございました。雇用保険法に基づく従来型の事業所内保育事業は、従業員の福利厚生を目的にゼロ歳から五歳までの従業員の子供を保育する認可外の施設でございまして、県への届け出は任意となってございます。他の二つの保育事業と比べまして、整備費、運営費の助成額が低く、また運営費助成が最長十年間となってございます。  次に、子ども・子育て支援法に基づく地域型保育事業でございますけれども、従業員の子供以外に地域の保育を必要とする子供の受け入れを地域枠として設定することを要件とする市町村の認可施設でございます。運営につきましては、保育士比率に応じた助成がありますことから経営の安定が見込まれますものの、整備費の助成がなく、またゼロ歳から二歳までの子供を対象といたしておりますから、三歳以上の子供を受け入れる連携施設の確保というものが必要になる、そういった課題がございます。  最後に、同じく子ども・子育て支援法に基づき今年度から導入をされました企業主導型保育事業についてでございますが、ゼロ歳から五歳までの子供を対象にし、従業員の子供以外に定員の五〇%以内で、任意で地域枠を設定することができます。企業主導型保育は、認可外の施設でありますものの、県への届け出が義務づけられ、匍匐室や園庭など認可保育所並みの整備費、運営費が助成されるため、安定的な保育事業の実施が期待できます。現在、待機児童解消というのが喫緊の課題になっておりますため、国におきましては、従来型の事業所内保育事業よりも整備費、運営費の助成を手厚くし、また従来型の新規受け付けを停止することによりまして、この企業主導型保育事業の活用を促していき、保育の受け皿確保を早急に進めているものであります。  企業主導型保育事業への評価でございます。企業主導型保育事業は、市町村の認可手続が不要であり、企業が主体的に計画を立て、速やかに事業実施ができますため、待機児童の早期解消に効果的であるというふうに考えております。一方で、認可手続という形で県や市町村が設置に関与しないために、保育の質に不安がある、そういった声もあります。このため県におきまして、児童福祉法に基づき必要に応じて指導や監査等を実施することにより、児童の処遇、保育環境など保育の質を確保していく必要があると考えております。県が昨年十一月に開催をいたしました企業主導型保育事業セミナーには、二百名を超える企業、団体の方が参加をされておりまして、従業員の就業継続の確保のため、当事業を実施をしたい、そういった感想が聞かれたところでございます。国は応募件数について、総数の約千二百件、これのみを公表いたしております。都道府県別の件数は公表いたしておりません。採択件数については公表されておりまして、総数が六百二十件、都道府県別で最も多いのは大阪府五十二件、次いで東京都五十件、本県は愛知県とともに三番目の四十八件となってございます。県内では福岡市が十八件と最も多く、次いで北九州市、大野城市、志免町と都市圏での取り組みが多くなっております。また規模につきましては、国全体では六人から二百人となっておりまして、本県では六人から百二人となっているところであります。  なお、採択企業の八割近くが従業員以外のお子さんを受け入れることといたしておりますが、ほとんどの企業がまだ事業を開始しておりませんために、現時点では従業員とそれ以外のお子さんとの内訳は明らかになっておりません。企業主導型保育事業は、特に土地の確保が困難、そういった理由から、保育所の整備が進んでいない都市圏において、待機児童の早期解消につながるものと考えておりまして、県といたしましては、今後とも市町村と連携して企業への周知、広報を行い、その活用を働きかけてまいりたいと思います。  次に、新しい行政改革大綱に定められた事業所内託児所についてお尋ねがございました。本県では、組織の活力を高めるため、女性のさらなる活躍と男女ともに働きやすい環境整備が必要であると、そういった考え方から、事業所内託児施設について行政改革大綱に盛り込んだものでございます。従前設置をいたしておりました託児室は県職員のみを対象にしておりましたが、今回は職員、地域、企業におけるニーズの把握を行いまして、地域住民や企業の従業員のお子さんたちの地域枠を設ける事業所内託児施設の設置について検討を行います。  次に、農林水産振興基本計画についてでございます。今回の計画は、農業、林業、水産業の計画を初めて一本化したものでございまして、農林水産業で一体的に取り組んでいく施策を中心に各種施策の方向性を明確にしたところでございます。この中で特に、県産農林水産物の販売、消費の拡大に力を入れてまいります。具体的には、農林水産物とその加工品を福岡の食といたしまして一体的に販売を促進するほか、ブランド化、九州各県との連携等による輸出の拡大、六次産業化などの取り組みを強化をしてまいります。また、販売、消費の拡大につながりますよう、品質向上、安定的な生産、ICTの新技術の活用など需要に応じた生産力の強化というものを図ってまいります。加えて、意欲ある担い手の育成確保、応援団や食育などの取り組みを通じた農林水産業に対する県民の皆様の支持の拡大のほか、地域の特色を生かした農山漁村の活性化などに取り組んでまいります。  TPPにつきましては、トランプ大統領が永久に離脱をすると、そういう大統領令に署名をしたところでございます。そのために、今後の国際交渉など状況を注視していく必要があると考えます。私といたしましては、本県の大事な農林水産業をしっかり守っていくと同時に、攻めの農林水産業にしたいと考えておりまして、現時点で必要な施策は今回の計画に盛り込んでおります。  次に、計画実現のための予算についてでございます。平成二十九年度予算におきましては、新しい計画に基づき攻めの農林水産業にしたいとの考えのもと、特に農林水産業で一体的に進める取り組みを強化したところでございます。具体的には、福岡の食につきましては、首都圏だけではなく関西圏においても売り込みを行い、外食、中食事業者にフェアの開催を働きかけるとともに、関係部局が連携をいたしまして、旅行業界、通信販売事業者への販売促進活動にも積極的に取り組んでまいります。また、輸出拡大に向け新たにアメリカにおけるあまおうの販売促進フェアの開催、香港、台湾における果実ピューレなどの加工品の市場開拓などに取り組んでまいります。これらに加えまして、博多和牛の子牛の確保、大豆の調製施設の長寿命化対策、圃場の排水対策などに取り組んでまいります。また、高品質で安定的な生産、またコスト低減に向け省力機械及び施設の整備などについても引き続きこれを進めてまいります。県といたしましては、こうした取り組みを通じ、さらなる競争力の強化や収益力の向上を図っていき、農家所得の増大につなげてまいります。  森林環境税についてでございます。県では、今後の森林環境税のあり方についての検討を行うため、外部有識者で構成をされます福岡県森林環境税検討委員会を昨年の十月設置をいたしまして、これまでの取り組み、森林、林業の現状と課題、森林保全に向けた施策について、それぞれ議論をいただいてきているところでございます。これらの議論を踏まえ、第四回目となる先月の検討委員会におきまして中間報告が取りまとめられたところであります。この報告におきましては、林業を取り巻く情勢は厳しさを増しており、今後新たに森林の荒廃が進むおそれがあることから、森林環境税を継続して森林保全に向けた施策を実施していくことが適当であるとの方向性が示されております。今後、中間報告に対するパブリックコメントを実施をし、ことしの夏までに最終報告が行われることとなっております。県といたしましては、この報告を踏まえるとともに、これまで整備された森林では、水源の涵養など森林の有する公益的機能が回復しつつあること、またこの機能の恩恵は全ての県民が享受をしていること、それらを勘案し、速やかに判断をしてまいります。  GAPの認証取得への取り組みについてでございます。グローバルGAPなど国際認証を取得することは、農産物の安全性の確保だけではなく、輸出やインバウンド需要にも対応できますことから、農産物販路の拡大が期待されるところであります。東京オリンピック・パラリンピック大会の調達基準としても検討されているところでございます。このため県におきましては、この認証取得に向けて生産者や指導者を対象とした研修会を開催するとともに、個別指導や助言を行ってまいりました。さらに、今年度から審査経費等への助成も行っているところでございます。この結果、ことしの二月にはJAくるめサラダ菜部会がグローバルGAPを取得されました。また、JA北九の若手生産者が若松潮風キャベツでの取得を目指して今月中に認証の審査を受けることとなっております。県といたしましては、関係団体と連携をいたしまして、認証取得によるメリットの周知に努め、より多くの生産者がこの認証を取得できるよう引き続き支援をしてまいります。 5 ◯議長(中尾 正幸君) 城戸教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 まず、全国的に教員の新規採用数が拡大していることについての事実認識でございます。現在、教員の新規採用者数が増加しているのは、昭和四十六年からの第二次ベビーブーム世代の就学期に大量採用された教員が定年退職期を迎えていることが大きな要因であると認識しております。  次に、本県の公立学校教員の大量退職時期についてでございます。本県では、平成二十五年度末から定年退職者数が四百名を超え、三十二年度のピーク時には約八百五十名となり、大量退職時期は今後十五年間程度は続いていくものと見込んでおります。  公立小中学校教員の新規採用者数とその競争倍率の推移についてでございます。小学校においては、今年度実施した採用試験の合格者数は、五年前の平成二十四年度に比べ二百六十九人増の五百七十九人で、競争倍率は四・〇倍から二・二倍へ下がっております。中学校では、五年前の平成二十四年度に比べ八十六人増の二百四十一人で、競争倍率は七・五倍から五・四倍へ下がっております。  正規教員の割合が低い理由につきましては、再任用者数や早期退職者数、特別支援学級数の伸びなどの予測困難な要因があったためであると考えております。  大量退職による新規採用者数増への対応と平準化採用についてでございます。県教育委員会では、大量退職、大量採用に伴い生じやすい年齢層の偏りの解消に向けて、これまでにも教員採用試験において現職教員や一定の講師経験を有する者に対して年齢制限の緩和を図り、幅広い年齢層の人材確保に努めてまいりました。さらに、来年度実施する教員採用試験では、現在の一般受験の受験年齢が四十歳以下であるところを五十九歳以下とする改善を行うとともに、現職教員についても、新たに専門教科試験や実技試験などの免除を行い、受験者層の拡大を図ることとしております。  県警察で実施されました採用方法についても、平準化のための一方策として有効であると考えられますが、教育委員会といたしましては、法令等に基づき算出された定数の範囲内で採用試験の改善を行いながら、幅広い年齢層を採用することで年齢の平準化を進め、将来、大量退職を招かないようにしてまいりたいと考えております。  今後の教員養成、研修の充実についてでございます。昨年十一月に教育公務員特例法が改正され、教員の資質に関する指標とそれを踏まえた教員研修計画の策定が県教育委員会に義務づけられるほか、十年経験者研修を中堅教諭等資質向上研修に改めるなど、教員研修の仕組みの見直しが行われました。県教育委員会では、今年度から教員研修体系の見直しに着手し、関係者から広く意見を聴取しており、例えば急増する若年教員の指導力の向上やミドルリーダーの経営能力の育成、子供と向き合う時間の確保との両立、市町村の研修との重複の整理などの課題があるものと認識しております。今後、法律に基づき、教員の資質に関する指標を速やかに定めますとともに、来年度中にも県としての課題や地域性を踏まえた新たな研修体系の枠組みを取りまとめたいと考えております。その際、教員は学校で育つとの考えのもと、日常的な教育実践に基づき指導の力量や自信を高められるよう、校内での研修の充実方策についても検討してまいります。 7 ◯議長(中尾 正幸君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後二時十分といたします。           午 後 零 時 五十六分  休 憩           午 後 二 時  十一分  再 開 8 ◯副議長(佐々木 徹君) 再開いたします。  休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。原竹岩海君。(拍手) *原竹議員質問 9 ◯五十九番(原竹 岩海君)登壇 皆さん、こんにちは。民進党・県政クラブの原竹岩海です。通告に従いまして、会派を代表して質問をさせていただきたいと存じます。  初めに、国の交付基準における地域区分の撤廃についてお聞きします。我が会派は、二〇一六年六月議会において、都道府県に対する国庫補助負担金のうち保育所等整備交付金において、合理的な理由がないまま、本県が最も低いDランクに位置づけられていることをただすとともに、類似の交付金がないかを調査するよう求めました。後に、合わせて八件の交付金の地域区分に合理的な理由がないことが判明をしたのであります。これに対し、知事もDランクは納得しがたい、関係省庁への提言、要望などの機会を通じ、交付基準が見直されるよう要請していくと応じられ、厚生労働省と文科省に対して見直しを強く求めてこられました。このような我が会派の指摘が功を奏し、国は先般、交付基準の地域区分を撤廃するという方針を明らかにし、来年度から全ての都道府県に、最も高いAランクが適用されることになりました。  そこで一点目に、今回の保育所等整備交付金の交付基準における地域区分の撤廃を、我が会派は、ひいては待機児童の解消につながる画期的な見直しであるとして極めて高く評価をいたしておりますが、知事はどのように受けとめられておるのかお聞きします。  二点目に、国の交付基準における地域区分が撤廃をされ、本県の補助基準額が引き上げられることについて、市町村や関係団体に早急に周知徹底をするべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  三点目に、今回の国の交付基準における地域区分の撤廃を機に、全国でも、本県でも保育環境の改善に生かすべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  次に、県政推進の基本姿勢として、福岡県総合計画について、知事に四点、警察本部長に一点お聞きします。  知事は、本二月議会に、二〇一七年度から二〇二一年度までの五年間の県政運営指針となる新たな総合計画を提案しておられます。この新たな総合計画は、再び県民幸福度日本一を目標として掲げ、安心して子育てができること、災害や犯罪、事故がなく、安全で安心して暮らせることなど、現在の計画の十の柱を踏襲するものとなっております。  一点目に、地方創生についてであります。新たな総合計画においては、県と市町村が、しごとを創る、ひとを創る、地域を創るの三つの重点戦略を共有し、地方創生の実現に向け、効果的な施策展開を図るとしております。しかしながら、今の地方創生を目的とした各種事業は、各自治体が本来行うべき事業を地方創生という名前につけかえただけではないかという批判もございます。地方創生の取り組みは、当初大々的に鳴り物入りでスタートし、地方の期待を集めましたが、今ではその熱気も冷め、このままでは果たして五年後までそのイメージが残るのかと、地方からも疑問の声が出ているようですが、その点について知事はどのような認識をお持ちなのかお尋ねします。  二点目に、現在の総合計画において未達成の数値目標についてであります。現在の総合計画においては、百八十八の施策と百二十一項目の数値目標が設定をされております。この百二十一の数値目標のうち、二〇一五年度末、つまり実施期間五年のうち一年を残した時点で、目標を達成できていない数値目標が七十七あります。例えば、住宅の耐震率、保育所入所待機児童の解消、一般廃棄物の排出量の抑制、交通事故者数の減少などであります。これら七十七の数値目標は、いずれも県民生活の向上にとって重要な施策ですが、計画最終年度の今年度末までに目標を達成できるのか、その見通しについてお聞きします。その上で、現在の総合計画の達成状況を踏まえ、知事としてこの五年間の県政運営をどう評価をされるのかお聞きします。  三点目に、新たな総合計画における数値目標についてであります。貧困の状況にある子供たちへの支援や、家庭生活困窮者等の自立支援など、社会的弱者を支援する施策は、現総合計画では三十二の施策と十五の数値目標にとどまっておりましたが、新たな総合計画では、我が会派の提案などが反映され、四十五の施策と三十四の数値目標に大きくふえたことを率直に評価したいと存じます。しかし、さきにただしたように、現在の総合計画において、二〇一五年度末の時点で七十七の数値目標が未達成という状況に鑑み、新たな総合計画における百五十六項目に及ぶ数値目標は、果たして達成可能なのか疑問を持たざるを得ません。  そこで、我が会派は計画倒れにならないように、施策を確実に実施することこそ重要と考えますが、これら百五十六の数値目標の達成に向けた知事の決意をお聞きします。  四点目に、県警察の三大重点目標についてであります。知事は、現在の総合計画の公表に当たり、県警察の三大重点目標について、暴力団や飲酒運転事故の撲滅、性犯罪など、全国ワースト上位に位置づけられている分野の断固返上に向けて取り組むと決意を述べておられます。県警察が、暴力団壊滅に一丸となって取り組む中、暴力団の組員は減少し続け、特定危険指定暴力団工藤會の壊滅作戦も進んでおります。一方、飲酒運転による事故については減少傾向にあるものの、いまだ数値目標は達成できておりません。性犯罪に関しては、今回の総合計画で新たに数値目標が設定されたことについては評価するものの、性犯罪の発生率は七年連続で全国ワースト二位になっております。  そこで、これら県警察の三大重点目標について、全国ワースト上位という不名誉の返上にどのように取り組んでいかれるのか、知事並びに警察本部長にお聞きします。  次に、来年度の予算編成と県政運営についてお聞きします。初めに、来年度の当初予算について、知事に四点お聞きします。  一点目に、予算編成についてであります。本県の来年度一般会計当初予算案は、総額が前年度比四・五%減の一兆七千二百九億円となり、十二年ぶりに減少に転じました。これは、主に政令市へ小中学校等の教職員給与負担が移譲されたことにより、前年度より人件費が千五十九億円減少したためであります。移譲の影響を除くと、人件費、社会保障費、公共事業費、行政施策費など、いわゆる政策経費は一兆一千七百七十五億円、前年度より一・三%、百四十七億円増となっており、新規事業は苅田港新松山地区の工業用地造成や、天神中央公園の再整備、多言語コールセンターの設置など百八十七件と、一九九三年以来最多となっております。我が会派は、近年では最多となる新規事業を盛り込むなど、知事の意欲を率直に評価をしたいと存じますが、その一方で、総花的な予算編成となっているようにも思えるわけであります。  そこで、知事はどのような施策に最も重点を置いて来年度予算を組まれたのかお聞きします。  二点目に、新年の報道各社によるインタビューにおいて、この春に二期目の任期の折り返しを迎えることから、残り、子供の貧困対策や障がい者対策など、温かみのある行政にもっと力を入れたいと抱負を述べられておりますが、このような知事の思いは予算編成にどのように反映されているのかお聞きします。  三点目に、現在の財政改革推進プランについてであります。二〇一六年の二月議会の代表質問において、我が会派の岩元一儀議員は、二〇一四年度から実施をしている財革プランについて、最終年度となる本年度、目標を達成できる見通しであるとしていることから、財革プランの必要性が見当たらないため、プランの中止または廃止をされるよう要望してきたところであります。実際に我が会派の指摘どおり、最終年度である本年度において基金の取り崩しに頼らずに当初予算を編成するとともに、通常債残高を二〇一二年度に比べ六百二十億円程度圧縮しました。にもかかわらず、年度途中になって三基金から四十三億円を取り崩し、通常債残高が前年度より増加するため、目標を達成できないとの見通しへと変更されました。  そこで、なぜこのように今年度当初から大きく見通しを変えてしまったのか、その理由をお聞きします。  四点目に、財政改革プラン二〇一七についてであります。新たな財政改革プラン二〇一七では、来年度から二〇二一年度までの五年間を実施期間とし、さきに述べた政策経費を新たな借金に頼らず、その年度の税収など自前の収入でどれだけ賄えているかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を初め、県債残高の縮減、支出増などへの対応に必要な財政調整基金等三基金の確保の三点を目標として掲げております。本県の収支については、現在のプランでは今年度はプラスに転じるとしていました。ところが新たなプランでは、三年後の二〇二〇年度にようやくプラスに転じると、収支見通しが大幅に変更されております。  そこで、新たなプランにおいて、なぜこのように収支見通しが大きく変わったのか、その理由を知事にお聞きします。  次に、本県の行政組織のあり方についてお聞きします。一点目は、本県の働き方改革についてであります。新たな行政改革大綱では、現大綱と同様の四つの改革の柱に加えて、ワークライフバランスの推進と人づくり・士気の高揚が新たな柱として掲げられておりますが、あわせて人員削減も掲げられており、どのような手だてでワーク・ライフ・バランスを実現されるのか、知事にお聞きします。  あわせて、病気休暇または病気休職を継続して三十日以上取得した長期病休者、中でも精神疾患による長期病休者の状況についてお聞きするとともに、職員の健康管理並びにメンタル不調対策にどのように取り組まれるのか、知事の考えをお聞きします。  二点目に、非正規職員の処遇改善についてであります。本県の知事部局の職員数は、二〇一二年度では正規職員数七千八百十七人、非常勤職員六百十六人、臨時職員七十五人と、全職員に占める非正規職員の比率は八・一%でした。五年後の二〇一六年度にはこの比率が八・九%となり、わずかながら増加傾向にあります。総務省は、地方公務員の非常勤職員の待遇を改善するための関連法改正案を、今国会に提出予定であります。改正案は、正規並みの日常業務に従事する職員を中心に、正規と非正規の賃金格差を是正する、同一労働同一賃金を推進する、期末手当の支給を可能とするなどの内容となっております。  そこで、我が会派は、民間企業における正規と非正規の同一労働同一賃金の実現を先導するという意味からも、非正規で働く県職員の処遇改善が重要だと存じますが、このことについて知事の考えをお聞きします。  あわせて教育長にお伺いします。学校現場における非正規教員、いわゆる講師についても処遇の改善が急務であります。例えば、大学卒業後すぐに教職につき、現在四十歳の教員の給料月額は三十五万三千二百円です。一方、この間一貫して講師として勤務をした場合には、この額が二十七万一千八百円と、実に八万一千四百円の差が生じているのが現状であります。  そこで、学校現場で現職の教員同様、学級担任や部活指導を含め現に学校教育を担っている講師と、正規教員の賃金格差をどのように認識をされておられるのかお聞きします。その上で、正規教員と変わらない勤務をしている以上、講師の給料を上げるべきと考えますが、教育長の見解をお聞きします。  次に、玄海原発の再稼働についてお聞きします。九州電力は、玄海原発三、四号機が、原子力規制委員会の新規制基準に適合したことを踏まえて、地元同意の取りつけの動きを本格化させており、早ければこの夏の再稼働を目指しております。我が会派は、福島第一原発事故を受けて、玄海原発から三十キロ圏内に糸島市の一万五千人の県民が暮らしている福岡県の現実を踏まえて、原発立地県ではないものの、隣接県の立場から、小川知事に対して玄海原発問題についての具体的な対応を求めてまいりました。その主なものは、県として、原子力防護措置区域の見直しを国に対して求めることと、県、糸島市、福岡市との安全協定の締結を九州電力に対して求めることなどであります。その結果、原子力防災に係る防護措置区域は、それまでの十キロ圏から三十キロ圏(UPZ)に拡大をされました。また九州電力と福岡県の関係も、それまでの単なる情報伝達の確認レベルから、県、糸島市、福岡市と九電との書面による安全協定として締結をされました。その他にも、SPEEDIを活用した原子力防災体制の充実、モニタリングポストの整備、広域避難計画の実効性の確保等について、我が会派はたびたび県議会で取り上げてまいりました。中でも、玄海原発で、福島第一原発事故と同様の事故の発生を想定した広域避難計画の実効性について、国の指針による二段階避難の非現実性を厳しく指摘するとともに、昨年四月の熊本地震を踏まえ、巨大地震等の自然災害と原発事故が同時発生する、いわゆる複合災害への対応等の問題点を指摘し、原子力防災対策及び広域避難計画の強化、見直しを求めてきたところであります。  そこで、知事に三点質問します。我が会派は、災害時における人間の心理や行動を論議しないまま、非現実的な二段階避難を前提とした玄海原発の再稼働については慎重に対応すべきで、一斉避難を想定した避難計画とするよう計画の見直しを図るべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。  二点目に、九州電力との安全協定の見直しについてお聞きします。福岡県は、福島第一原子力発電所の事故を受け、二〇一二年四月、九州電力と安全協定を結んでおります。法的な裏づけを持たない我が県が、文書で安全協定を締結したことを、当時我が会派としても一定の評価をしたところであります。その後、我が会派は、二〇一四年十二月議会の代表質問で安全協定の不十分さを指摘し、原子力防護措置準備区域が三十キロ圏まで拡大をされ、福岡県の一部が含まれたという実態を踏まえて、再稼働に当たっての地元同意は、隣接県である福岡県の意向も十分に反映をされる必要があると指摘してきたところであります。  そこで、早ければ今夏にも玄海原子力発電所の再稼働が行われるのではないかという状況を踏まえ、安全協定の内容を佐賀県と同様の内容に見直すべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。  三点目に、住民説明会の開催についてであります。福岡県内での住民説明会は、現時点では三月二十三日、糸島市で計画されている一カ所だけであり、参加対象は糸島市民に限定されております。  そこで、県として県民に対する説明責任を果たすためには、少なくとも希望があった県内の自治体においては説明会を開催すべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。(拍手) 10 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 *知事答弁 11 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、保育所等の整備交付金の交付基準における地域区分の撤廃についてでございます。この地域区分につきましては、議員も御指摘になりましたとおり、昨年の六月議会におきまして、本県が最も低いD地域に位置づけられているのは不当であると、そういう御指摘を受けていたものでございます。これを踏まえまして、夏には議長と、また秋には副議長とともに厚生労働省等に出向き、その見直しを強く求めてきたところでございます。今般、国は地域区分を撤廃することといたしましたけれども、これは議会からの問題提起を受けまして、議会の皆さんと一体となって国に働きかけを行ってきた、その成果であると、このように認識をいたしております。  次に、その市町村等関係団体への周知についてお尋ねがございました。地域区分の撤廃につきましては、二月十七日、厚生労働省から通知がありまして、私ども県では、同日直ちに市町村に対しその通知を送付するとともに、福岡県保育協会にもお知らせをしたところであります。また、三月六日に開催をする予定でございます市町村説明会におきましても、市町村を通じて保育事業者の方々への周知を徹底させていただきます。  次に、地域区分の撤廃の保育環境改善への活用についてでございます。今回の地域区分の撤廃によりまして、本県の補助基準額が引き上げられますことによって、保育事業者の方々の施設整備の意欲を高めていく契機になる、このように考えております。県といたしましては、今後市町村と連携をしまして、今回の交付基準の改正内容を周知をし、保育所等施設の整備、充実を促進することによって待機児童の解消につなげてまいりたいと、このように考えております。  次に、地方創生についてでございます。地方創生は、地方の若い世代が、過密で出生率の低い東京圏に流出することで少子化、人口減少につながっていると、そういう問題意識のもと、東京から地方への新たな人の流れをつくり、人口の減少に歯どめをかけようとするものでございます。この地方創生でございますが、今後も、国、地方双方にとって重要で、また一体となって取り組んでいくべき大きな課題であると、このように認識をいたしております。その際の私の基本的な考え方でございますけれども、誰もが住みなれたところで働き、安心してお子さんを産み育て、長く元気に暮らすことができる、そうした地域社会をそれぞれの地域につくっていくことにあると思っております。こうした考え方のもとで、新たな総合計画におきまして、しごとを創る、ひとを創る、地域を創るのこの三つを県、市町村で共有すべき重点戦略とさせていただいたところでございます。  次に、現在の総合計画における数値目標の達成見通しについてでございます。計画期間を一年残した昨年度末の時点で未達成の数値目標は七十七ございました。現時点までに十三件の目標達成と六件の未達成が明らかになっております。残り五十八件につきましては、今後取りまとめられます年度末の統計数値を見て判断をすることになります。目標が既に達成できなかった飲酒運転による交通事故の発生件数、交通事故死者数、子供の体力、学力などにつきましては、次期総合計画においてそれぞれの取り組みを強化することといたしております。県では、昨年度末までの、今申し上げました数値目標の達成状況に加えまして、現行計画に掲げております十の施策の方向性ごとに有効求人倍率、健康寿命といったマクロのいろんな社会経済指標、これらを総合的に検証、評価もあわせてやっておりまして、いずれの施策も全体としては順調に進捗をしているものと考えております。これに加えまして、毎年実施をさせていただいております県民意識調査におきまして、福岡県に生まれてよかった、生活してよかったと言っていただける方が、昨年初めて八割を超えましたことからも、この五年間の県政運営は着実に成果を上げつつあるものと考えております。  次に、新たな総合計画における数値目標の達成に向けた決意についてでございます。新たな総合計画におきましては、これまでの成果と課題、社会経済状況の変化を分析、評価をした上で、順調に成果を上げているものについては、さらにこれを伸ばしていく、課題のあるもの、状況変化のあるものについては、対応する新たな施策を追加するといった考え方で今回の計画を策定したところでございます。こうした考えのもと、施策はより効果的で実効性のあるものに、数値目標はより的確に政策の効果を測定できるものに、それぞれ追加、見直しを行いまして、その結果、施策数は百八十八から二百二十七へ、数値目標は百二十一から百五十六へと増加するなど、政策課題にきめ細かく対応するものになったと考えております。県といたしましては、直ちに取り組むべき施策につきましては来年度当初予算に計上させていただきますほか、PDCAサイクルによる進捗管理に加えまして、県内十五の広域地域振興圏ごとに重点戦略、成果と課題を市町村との間で共有することによって、効果的な施策の推進を図っていき、数値目標の達成に努力をしてまいります。  次に、県警察の三大重点目標にかかわる取り組みについてお尋ねがございました。平成二十六年九月以降、工藤會最高幹部らが相次いで逮捕されるなど、暴力団対策は大きく前進をしております。しかしながら、未解決事件も多く、治安の面では暴力団対策が大きな課題であります。引き続き県警察の強力な取り締まりとあわせまして、さらなる暴力団排除機運の醸成、暴力団への加入阻止と離脱促進に取り組んでまいります。また、住民から委託を受けた暴追センターが原告として事務所使用差しとめ請求を行う場合に、住民の皆様に費用負担が生じない仕組みというものを来年度新たに構築をいたしまして、事務所撤去を促進してまいります。  次に、飲酒運転撲滅につきましては、海の中道大橋の事故から十年の節目になる昨年の八月、県民大会を行いますとともに、飲酒運転撲滅宣言企業や宣言の店の登録の促進に取り組んでいき、今登録数は四万を超えたところであります。来年度は、新たに若年者対策を強化をするためカラオケボックスへの啓発映像を配信するとともに、飲酒運転撲滅宣言企業や宣言の店に対しまして、企業や店の優良な取り組み事例、あるいは事故の統計情報などを迅速に提供しまして、宣言企業や宣言の店との間で情報共有を図ってまいります。  次に、性犯罪につきましては、市町村等が行います性犯罪防止のためのカメラの設置に対し助成を行うなど、性犯罪の防止に取り組むとともに、性暴力被害者支援センター・ふくおかの相談時間を二十四時間に延長し、被害者の支援の拡充も図ってきたところでございます。来年度は新たに、センターの支援員が付き添って被害者が病院を受診される場合に、御本人の同意を得た上で、警察への届け出に備えた証拠保全も行い、性犯罪抑止を図ってまいります。  誰もが安全で安心して暮らせる福岡県をつくっていくため、引き続き県警察、教育委員会など関係機関と密接に連携をいたしまして、全国ワースト上位を返上すべく暴力団対策、飲酒運転、性犯罪の撲滅に全力で取り組んでまいります。  次に、当初予算編成に対する私の思いでございます。今回、地方創生の具体化を進め、本県をもっと元気にするための予算というものを編成させていただきました。特に自動車、水素、バイオといった先端成長産業の育成、農林水産物のブランド化あるいは輸出促進、観光の振興など魅力ある雇用の場の創出のための産業振興、次に子育て支援と子供の貧困対策の充実強化、さらには女性、高齢者など多様な人材の活躍、結婚、出産、子育てにつながっていくワーク・ライフ・バランスを進めていく働き方改革、これらの三点に重点を置き、全力で取り組んでまいります。  お尋ねのありました温かみのある行政についてでございますが、例えば子供の貧困対策につきましては、放課後児童クラブの利用料の減免の支援、子ども支援オフィスの田川地域への新設など、前年度より七事業多い百五の事業、金額では二十五億円増の七百五十九億円を、障がい者対策につきましては、発達障がい者支援センターの福岡、北九州両地域への新設など、前年度より三事業多い四十八の事業、金額では十九億円増の四百三十八億円の予算を編成させていただき、それぞれの施策の充実強化を図ったところでございます。このほか、保育所等の施設の整備、保育の担い手の確保を初めとした子育ての支援、介護応援宣言企業制度の創設など、そういった取り組みも推進をしてまいります。  次に、財政改革推進プランについてでございます。これまでプランに沿って着実に改革を推進してまいりました結果、本年度は財政調整基金等三基金の取り崩しに頼らず当初予算を編成するとともに、通常債残高を二十四年度末に比べ、目標を七十億円上回る六百二十億円程度圧縮することができました。しかしながら、当初予算の編成過程では想定できませんでした急激な円高の進行によりまして、本年度の地方消費税とその清算金が二百七十億円程度減収となる見込みとなりましたことから、最終的には三基金を取り崩さざるを得なくなりました。また、国の経済対策に対応して県の補正予算を追加し、河川の護岸やため池の整備など事前防災、減災対策に取り組みましたことから、通常債残高が一時的に前年度よりも増加することとなりました。  新しい財政改革プランの収支見通しについてでございます。今回のプランの収支見通しは、平成二十八年度の大幅な税収減を反映した二十九年度当初予算をベースにいたしまして、新たに推計をしたものでございます。具体的には、内閣府の中長期の経済財政に関する試算の地方税の伸び率、過去の予算の伸び率等を参考にいたしまして、予定されている制度の変更や本県の個別の事情を踏まえて推計をさせていただいております。この結果、公債費や社会保障費が増大を続け、各年度百十五から二百億円程度の財源の不足が発生をするため、事務事業の見直し、財政収入の確保などの改革に取り組み、五年間で総額一千九十億円の財源不足を圧縮することによりまして、平成三十二年度には収支をプラスに転ずることができる見込みとなりました。  次に、ワーク・ライフ・バランスの実現についてお尋ねがございました。新たな行政改革大綱におきましては、ワークライフバランスの推進と人づくり・士気の高揚というのを柱の一つに掲げ、全ての職員が最大限能力を発揮し、組織の活力を高めるため時間外勤務の縮減など、男女がともに働きやすい環境の整備を進めていくとともに、職員の働き方を見直すことによってワーク・ライフ・バランスの実現に取り組むことといたしております。この実現に当たり、厳しい財政状況の中では、限られた人的資源を最大限に活用していくことが求められます。このことから、事務事業の不断の見直し、仕事の生産性向上への取り組みが必要となっております。具体的には、必要性が低下した事業の廃止を行うとともに、決裁権限の委譲、タブレット端末を活用したモバイルワークの導入等ICTの効果的な活用によりまして、仕事の生産性向上に取り組んでまいります。  次に、職員の健康管理とメンタル不調対策についてでございます。本県の精神疾患による長期病休者、その数は近年百二十名程度で推移をいたしております。このような状況の中、今年度福岡県職員心の健康づくり計画を改定をいたしまして、これまで取り組んでまいりましたメンタル不調の早期発見、早期対応、職場復帰支援の対策に加えまして、ストレスチェックを活用してメンタル不調の発生及び悪化の未然防止を強化することといたしております。また、職員の健康管理につきましては、定期健康診断の後、再検査の受診勧奨を行いまして、各種健康教室を開催することによって、生活習慣病についても、そのリスクの軽減を図っているところでございます。今後、所属長向けのメンタルヘルスハンドブックを、健康管理全般に広げた内容に全面改訂をいたしまして、この新しいハンドブックを所属長がしっかり活用して、それぞれの職場の健康管理を行い、職員の皆さんの健康増進を図ってまいります。  次に、知事部局における非正規職員である臨時、非常勤職員の処遇改善についてでございます。本県の臨時職員や非常勤職員につきましては、正規職員の皆さんと同様、県民の福祉の向上のため県政の一翼を担っていただいており、重要な役割を果たしていただいているものと認識をいたしております。その報酬、賃金につきましては、類似職種の正規職員、あるいは民間事業の従事者との均衡を考慮して設定をいたしておりまして、通勤費用につきましても支給をしているところでございます。一方、非常勤職員の期末手当等の諸手当につきましては、地方自治法の規定により、これを支給することができないこととされております。現在、国におきましては、地方公務員の非常勤職員にこの手当を支給できるよう給付体系の見直しについて、法制度の整備を含め検討がなされているところでございます。このような国の動きも注視しながら、引き続き福岡県の臨時、非常勤職員の皆様の適正な処遇の確保に向け取り組んでまいります。  避難計画の見直しについてでございます。国の原子力災害対策指針におきましては、予防防護措置を準備する区域、いわゆるPAZにおきましては、高線量の外部被曝による影響を避けるため、全面緊急事態に至った時点で原則として即時避難することとされております。一方で、緊急時防護措置を準備する区域、いわゆるUPZにおきましては、吸入による内部被曝のリスクをできる限り低く抑え、渋滞やパニックに伴う事故など避難行動による危険を避けるために、まずは屋内退避を基本とし、放射線量の実測値が基準を超えた場合に避難をすることとされております。以上申し上げましたとおり、現時点での国の指針におきましては、段階的な避難が想定されておりますけれども、これは無用な被曝を避け、円滑な避難が行われるために必要な方法であると考えております。このため県におきましては、UPZ内の住民の皆様を対象に二段階避難など原子力防災に対する意識の啓発に努めているところであります。あわせてUPZ内の住民の方々に、原子力防災訓練に参加をしていただくことによりまして、住民の皆様の安全、安心の確保に努めてまいります。  次に、安全協定についてお尋ねがございました。玄海原子力発電所で万が一事故が発生した場合、住民の皆様の迅速かつ円滑な避難等が行われるよう九州電力から迅速な情報連絡を受けることが重要である、そういう観点から、福岡県、糸島市、福岡市と九州電力との間で安全協定を締結をしているところであります。この協定では、立地県並みに、異常時だけではなく平常時にも本県に対し情報提供がなされるとともに、福島第一原子力発電所のような重大事故が発生した場合には、糸島市はもとより発電所から三十キロを超えております福岡市にも九州電力から直接連絡が入る仕組みを、これは全国に先駆けて盛り込んでいるところであります。県といたしましては、引き続きこの協定を着実に運用することによりまして、万が一の原子力災害時の県民の皆様の安全を確保してまいりたいと考えております。  次に、住民説明会についてお尋ねがございました。県では国の指針を踏まえ、玄海原子力発電所から三十キロ圏内を原子力災害対策重点区域といたしまして、平成二十四年、地域防災計画及び広域避難基本計画を策定いたしまして、同年から原子力防災訓練を実施してきているところであります。この三十キロ圏内の重点区域に含まれる市町村は、本県では糸島市でありますこと、既に再稼働をしております全国のほかの原子力発電所の隣接府県におきましては、いずれも三十キロ圏内の市町を対象に住民説明会というものを開催されておられますことから、本県の住民説明会につきましても、糸島市とさせていただいたところでございます。なお、長崎県も同様の考え方で説明会を開催されると聞いております。 12 ◯副議長(佐々木 徹君) 城戸教育長。
    *教育長答弁 13 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 講師と正規教員の賃金格差の認識と給料についてでございます。職員の給料は、講師、教諭、教頭、校長などの職ごとに給料表で定められておりますため、講師と正規教員では、その給料に差が生じておるものでございます。講師の給料については、これまでも正規教員の給料の見直しに合わせ、同様の見直しを行ってきているところでございます。今後、非正規職員に係る国の動きを踏まえまして、他の職との均衡も考慮しながら研究をいたしますとともに、人事委員会に対しても講師の職務の実態について説明をしてまいります。 14 ◯副議長(佐々木 徹君) 樹下警察本部長。 *警察本部長答弁 15 ◯警察本部長(樹下 尚君)登壇 三大重点目標に関する取り組みについてお答えをいたします。  まず、暴力団の壊滅についてであります。工藤會最高幹部の検挙を初めとする取り締まりの強化や組員の離脱、就労支援等を推進し、暴力団の組織基盤に着実に打撃を与えるなど、暴力団対策は大きく前進しているところであります。しかしながら、県内にはいまだ五つの指定暴力団が本拠を置くなど、暴力団の存在が県民の皆様に大きな脅威を与えております。引き続き県民の皆様の安全確保に万全を期した上で、未解決凶悪事件等の捜査に全力を尽くすとともに、関係機関等と連携した暴力団排除活動に取り組むなど総合的な暴力団対策を推進してまいります。  次に、飲酒運転の撲滅についてであります。平成二十八年における本県の飲酒運転による交通事故は、海の中道大橋事故が発生した平成十八年の六百五十件から百五十八件まで大幅に減少したものの、平成二十七年から二年連続で増加しており、本県における飲酒運転の情勢は依然として憂慮すべき状況にあると認識をしております。引き続き、繁華街周辺での大規模な車両検問や飲酒運転が疑われる車両の運転者に対する職務質問など、実効ある取り締まりを強力に推進し、飲酒運転を行う悪質なドライバーを交通の場から徹底して排除してまいります。また平成二十七年四月、福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例に盛り込まれました飲酒運転の通報努力義務を県民の皆様に広く周知するなど、飲酒運転を許さない社会環境づくりを推進してまいります。  最後に、性犯罪の抑止についてであります。本県の性犯罪の認知件数は、平成二十八年中、前年と比べ約三割減少したものの、人口十万人当たりで見ますと、七年連続で全国ワースト二位で推移しており、依然として深刻な状況にあります。引き続き初動捜査を徹底し、防犯カメラ映像の収集、解析やDNA型鑑定など捜査手法を駆使した検挙活動を推進してまいります。また、昨年から実施している性犯罪防止のためのDVDを活用した参加型防犯教育に加え、本年一月から開始したスマートフォン用防犯アプリみまもっちによるタイムリーな情報の配信など、予防対策を推進してまいります。加えて、性暴力被害者支援センター・ふくおかなど関係機関等と、さらなる連携強化を図り、被害に遭われた方への心のケアを行うなど、被害者支援にも取り組んでまいります。  県警察におきましては、県民の皆様が一層安全と安心を実感していただけるよう三大重点目標の達成に向け、組織一丸となって各種対策を強力に推進してまいります。 16 ◯副議長(佐々木 徹君) 原竹岩海君。 17 ◯五十九番(原竹 岩海君)登壇 一定の回答をいただいたところでございますが、玄海原発に関する住民説明会について、知事に二点質問します。  本県と糸島市は住民説明会を開催の予定であります。二月二十四日、本議会の開会日に県議会と九州電力との勉強会において九州電力は、要望があればどの地域でも住民説明会を開催しますと説明をされました。そこでまず、県内市町村から住民説明会を開催してほしいとの要望があった場合は、速やかに開催できるよう、九州電力に対して県側からしっかりと働きかけをすべきと考えますが、知事の考えを再度お聞きします。  次に、知事は、二〇一一年十二月の議会において、我が会派の川崎俊丸議員の質問に対し、国そして電力会社の安全性の確保状況について、知事として県民の皆様に説明をしなければならないと答弁されておられます。そこで、知事御自身のこの発言に責任を持つとすれば、知事として、糸島市に限らず県民の皆様に説明責任を果たすべきと存じますが、知事の考えを再度お伺いします。 18 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 19 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、県内の他の市町村から住民説明会の希望がなされた場合でございますけれども、その場合には、九州電力に対し、その開催を働きかけさせていただきたいと思います。  また、私自身が県民の皆様にいろんな情報、考え方を説明するということについては、そのように考えておりまして、それは、いろんな形のやり方があろうかと思います。今後、この玄海の三号、四号について再稼働、今後の動向、それを踏まえて、私自身しっかり説明をさせていただきたいと思っております。 20 ◯副議長(佐々木 徹君) 原竹岩海君。 21 ◯五十九番(原竹 岩海君)登壇 知事に要望します。県民の安全、安心を守る最高責任者として、糸島市以外での住民説明会をぜひ実現していただきますよう強く要望して、この項の質問を終わります。  次に、部落差別解消推進法制定に基づく本県の取り組みについてお聞きします。今なお我が国に根強く現存する部落差別の解消を目指すため、国会で審議されていた部落差別解消推進法が、昨年十二月九日、参議院本会議で自民、民進、公明など与野党賛成多数で可決、成立をしました。推進法には、現在もなお部落差別は存在すると明記をされ、基本的人権を保障する憲法の理念にのっとり許されないとした上で、部落差別を解消することが重要な課題と規定し、国や地方公共団体の責務として、差別に関する相談体制の充実や教育、啓発活動の推進、実態調査を実施するよう明記をされております。  部落問題をめぐっては、一九六九年制定の同和対策事業特別措置法以来、同和地区の地域改善対策事業を初め住環境の整備、教育の機会均等の保障、就職保障などが取り組まれました。その後、二〇〇〇年に差別意識解消を目指す人権教育・人権啓発推進法が制定され、部落問題とともに高齢者、障がい者への差別についても国の重点課題として列挙され、差別解消への対策が求められていました。しかしながら、法務省の調査によると、部落差別に基づく人権侵犯事案は、二〇一一年から二〇一五年の調査でも年間百件前後で推移するとともに、近年ではインターネット上に同和地区として特定の地域を書き込むケースも現出しており、新たな部落地名総鑑になりかねないと問題視をされております。こうした部落差別の実態に鑑み、日本国憲法に保障されている基本的人権が大きく侵害されているということから、自民、民進、公明の与野党三党は、部落差別解消推進法案を昨年五月の衆議院に提出し、可決したことは周知のとおりであります。  そこで知事にお伺いします。今なお根強く残る部落差別について、知事の認識についてお尋ねします。そして、本県における部落差別に基づく人権侵犯事案の発生状況についてお答えいただくとともに、その解消についてどのような取り組みを果たしてこられたのか、あわせてお答えください。  次に、今回の部落差別解消推進法について安倍総理は、本年一月二十三日の衆議院本会議において、昨年十二月、第百九十国会で成立した部落差別の解消の推進に関する法律の趣旨を踏まえ、今後とも差別の解消に向けてしっかりと対処してまいると決意を示されたところであります。このように、国会での法案審議、さらには安倍総理の国会答弁を踏まえ、部落差別の完全解消に向けた知事としての決意をお伺いします。  次に、学校法人の財務情報等の一般公開についてお聞きします。学校法人には、私立学校法により財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書及び監事による監査報告書の財務情報に関し、在学生や保護者などの関係者に限って閲覧に供することが義務づけられております。しかし、学校法人には、同じく高い公共性を有する社会福祉法人に義務づけられている財産情報に関する一般公開は義務づけられておりません。文部科学省は、私立学校法の規定は学校法人に共通に義務づけるべき最低限の内容を規定したものとして、学校法人に対し法律に規定する内容に加え、より積極的な対応を求めてまいりました。その結果、文部科学大臣が所管する大学など高等教育の学校法人においては、財務情報の一般公開が二〇〇五年度の時点では八五・三%にとどまっておりましたが、その後十年でほぼ全ての高等教育機関で一般公開が行われるようになりました。また、文部科学省は初等、中等教育を所管する都道府県に対し、二〇〇四年七月、学校法人の財務情報の一般公開を求める通知を出しました。  そこで、二点知事にお聞きします。一点目に、二〇一二年に本県が行った調査についてであります。二〇一二年三月、我が会派の堤かなめ議員が予算特別委員会において、本県が所管する学校法人の財務情報の県民への情報公開についてただしたところ、知事は、学校法人に対して情報公開の趣旨について理解を促し、情報公開の取り組みが進んでいくように、これから努めてまいると答弁をされました。この質疑を受け、同年六月、前述の文部科学省の通知から実に八年もおくれて、本県は所管する私立小中高校及び中等教育学校の全九十七校を設置する六十一学校法人に対して、財務情報を積極的に公開することを求める通知を出されました。また、この通知と同時に、本県は初めて学校法人の財務情報の一般公開に関する調査を行ったと伺っております。  そこで、この調査結果について改めて御報告をいただきたいと存じます。  二点目に、直近の一般公開の状況についてであります。二〇一五年四月一日時点で、本県が所管する三百五社会福祉法人の全てが、社会福祉法の義務づけにより財務情報について県のホームページで一般公開されております。さらに、昨年三月三十一日、社会福祉法が改正をされ、本年四月から役員報酬総額及び役員報酬基準も一般公開が義務づけられることになりました。  そこで、現在六十一学校法人のうち、財務情報についての情報をホームページなどで一般公開している法人は幾つあるのか、そのうち役員報酬総額と役員報酬規程も一般公開している法人はあるのかお聞きします。  その上で、この際、県内の学校法人、例えば生徒数一千人規模の学校には、本県が年間三億円以上もの助成を行っていることから、財務情報、役員報酬総額及び役員報酬規程をホームページなどで一般公開し、私立学校の経営の透明性を高め、公正な運営を確保すべきと考えますが、知事の見解を求めます。  また、国に対し、社会福祉法人と同じく財務情報、役員報酬総額及び役員報酬基準の一般公開を義務づけるよう私立学校法の改正を強く求めるべきと考えますが、知事の見解をお聞かせください。 22 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 23 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、部落差別に対する認識でございます。本県では、福岡県人権教育・啓発基本指針に基づき、同和問題の解決に向けた施策を推進してきているところでございます。しかしながら、依然として同和問題に関する悪質な差別落書きや個人を誹謗中傷した投書、インターネット上での差別書き込みが継続をして発生をしているところでございます。こうした行為は、人としての尊厳を傷つけるだけではなく、差別意識の助長にもつながりかねません。部落差別は決して許されない行為であり、差別のない社会を実現する上で大きな課題であると、このように考えております。  部落差別に関する人権侵犯事案の発生状況と解消に向けた取り組みでございますが、法務局が平成二十七年に新たに受理をしました同和問題に関する人権侵犯事件は全国で九十三件、福岡県で十件となってございます。また市町村から県へ報告のありました同和問題に関する差別事象は、平成二十七年度、疑い事案を含め三十七件となっております。本県におきましては、これまで七月の同和問題啓発強調月間における講演会、街頭啓発を初め県民講座の開催、全戸配布の広報紙への啓発記事の掲載、啓発ラジオ番組の放送など、年間を通じて県民の皆様の啓発に取り組んできておるところであります。また、平成二十年度から、県や市町村職員を対象とした人権相談従事職員研修を実施をしてきているところでございます。  完全解消に向けた決意でございます。部落差別解消推進法は、基本的人権の享有を保障する憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないことを宣言するとともに、国や地方自治体に対し相談体制の充実や必要な教育、啓発の推進を求める内容となってございます。本県では、かねてから同和問題の早期解決を県政の重要な課題といたしまして、各種施策に取り組んできているところであります。今回の部落差別解消推進法の制定、これを契機といたしまして、法の趣旨の県民の皆様への周知を初め、さらなる相談体制の充実、教育、啓発の推進を図るなど、部落差別のない社会の実現に向けしっかり取り組んでまいりたいと考えております。  次に、学校法人の財務情報等の一般公開についてでございます。平成二十四年度の調査結果によりますと、財産目録等の財務情報をホームページなどで公表しております学校法人は六十一法人中二十一法人でございました。また、現在財務情報を公表している法人数は六十一法人中二十三法人ございまして、そのうち役員報酬総額まで公表している法人は六法人、役員報酬規程を公表している法人はございません。  学校法人の財務情報につきましては、私立学校法によりまして、在学者などの利害関係人から請求があった場合に閲覧に供しなければならないと、このようにされているところであります。しかしながら、財務情報を初め役員報酬総額や役員報酬規程につきましては、広く一般に公開する法令上の義務がありませんで、各学校法人の判断に委ねられているところでございます。また国のほうでは、学校法人の規模や実情等がさまざまであることに鑑みまして、私ども都道府県に対し、法人の指導を行う際には、小規模法人に過度の負担とならないよう配慮を求めておりまして、今のところ法改正の動きもないわけでございます。県といたしましては、財務情報の公開は、公共性を持つ学校法人の財務内容の透明性や公正性を確保するとともに、受験生や保護者などに、学校を選択する際の情報を提供する上では望ましいことだと考えております。このため、まず六十一の学校法人につきまして、学校の広報紙やホームページへの財務情報等の掲載など、具体例を示しながら一層の情報公開を促してまいりたいと、このように考えております。  次に、私立学校法の改正についてでございますが、国は、学校法人の規模や実情等がさまざまでありますことから、先ほど申し上げましたように、都道府県に対し小規模法人に過度な負担とならないように、その指導に当たっての配慮を求めてきているところであります。今のところ、法の改正の動きもないわけでございます。一方、お触れになりました社会福祉法人につきましては、黒字をため込んでいるとの報道を契機といたしまして、会計検査院による検査が行われ、多額の、いわゆる内部留保の存在というものが指摘されたわけでございます。これを受けて政府内で検討が行われ、昨年、社会福祉法の改正が行われたものと承知をいたしております。県といたしましては、まずこの私立学校法、現行法の中で、各学校法人に対し一層の情報公開を促してまいります。 24 ◯副議長(佐々木 徹君) 原竹岩海君。 25 ◯五十九番(原竹 岩海君)登壇 学校法人財務情報等の一般公開について、要望と再質問をさせていただきます。  御答弁により、学校法人の財務情報等の一般公開は、本県においてこの五年間ほとんど進展が見られず、中でも役員報酬総額の公表については、わずか六法人にとどまっていることがわかりました。繰り返しになりますが、一方で社会福祉法人には、本年四月からこれらに加え、役員報酬基準も一般公開が義務づけられます。我が会派は、社会福祉法人同様、学校法人に対しても多額の助成金が措置されている以上、県内の学校法人全てにおいて役員報酬総額及び役員報酬基準を含めた一般公開が確実に実現されるよう、県の働きかけを要望するものであります。  その上で、国に対して財務情報等の一般公開を義務づけるよう私立学校法の改正を求めるべきと考えますが、知事の考えを再度お伺いします。 26 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 27 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  国に対する法改正の働きかけでございますが、先ほど申し上げました、現在の国の方針、そしてまずは私ども現行法の中で、六十一の法人に対して働きかけをやらせていただきます。それをまず、やらせていただきたいと思っております。その上での話だろうと思っております。 28 ◯副議長(佐々木 徹君) 原竹岩海君。 29 ◯五十九番(原竹 岩海君)登壇 次に、本県における多言語対応の充実についてお聞きします。九州における入国外国人数は、二〇一〇年の百万人から、二〇一五年には二百八十三万人と大幅に増加し、五年で約三倍となりました。本県における入国外国人数は、二〇一〇年が八十一万人、二〇一五年には二百九万人と増加し、五年で約二・六倍となりました。したがって、アジアのゲートウエーとしての本県における外国人観光客への多言語対応対策は、観光振興を推進する上で重要かつ急務となっております。  そこで、初めに本県の外国人観光客への多言語対応について、知事に二点お聞きします。  一点目に、ピクトグラムの普及促進についてであります。一九六四年の東京五輪において、視覚的な図で表現することで情報を伝達するピクトグラムと呼ばれる案内表示の絵文字マークが初めて使われ、大会の成功を後押ししました。このピクトグラムについて、二〇一三年十二月議会において、我が会派の佐々木徹議員が、外国人を初め誰にでもわかるピクトグラムの充実は、外国人観光客もわかりやすいものであるとただしたところであります。知事は、言葉の通じない外国人観光客が安全で安心で快適に観光を楽しんでいただくために案内表示の充実は極めて重要、ピクトグラムの表示は効果的であると答弁をされておられます。国は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向け、今、JIS(日本工業規格)の案内用マーク百三十六種類のピクトグラムの見直しを行い、新たに無線LANマークや祈祷室マークなどの四十種類のピクトグラムを追加する方針のようであります。  そこで、インバウンド観光客が急増している本県において、佐々木徹議員の質問以降、ピクトグラムの普及促進にどのように取り組んでおられるのかお聞きします。  二点目に、案内標識のガイドラインの策定についてであります。長野県が一九九八年に冬季オリンピックを開催するに当たって、案内標識について、長野県公共案内標識整備指針英文表記マニュアルを策定しました。これは、英語翻訳ルールを定めるもので、例えば、浅間山はマウントアサマ、松本駅はマツモトステーションなどと表記するというものであります。国土交通省は、その後二〇〇五年に観光活性化標識ガイドラインを定めました。  そこで、本県として、急増する訪日外国人観光客対策の一環として、国の観光活性化標識ガイドラインにのっとり、まずは訪日観光客が多数訪れる太宰府や柳川などの観光地において、本県所管の道路や公共施設などの案内標識の表記を変更することが必要と考えますが、知事の考えをお聞きします。  あわせて、市町村所管の案内標識も、同様に変更するよう市町村と協議をするべきと思いますが、知事の考えをお聞きします。  次に、警察、消防における多言語対応の推進について、四点お聞きします。本件に関しては、我が会派の堤かなめ議員が、二〇一四年の十二月議会において、外国人観光客や留学生など、日本語によるコミュニケーションが困難な方からの緊急の通報や相談に的確に対応できるようにするため、一一〇番通報と一一九番通報、並びに交番での多言語における対応の充実についてただしたところであります。  そこで一点目に、交番における多言語対応について警察本部長にお聞きします。我が会派は、一月十二日に博多駅前交番を視察をし、交番における外国人観光客向けのコミュニケーション支援ボードによる外国人観光客との対応に接することができました。博多駅前交番では、一日平均二十名以上の外国人に対応されており、行き先や紛失物の相談などは五分程度の対応で済むものの、パスポートの紛失や領事館対応などの相談には三十分以上の時間を費やすとのことであります。また、交番だけで対応し切れない場合は、三者間通話等により、県警察本部通訳センター員等の部内通訳要員と呼ばれる警察内部の通訳人が対応されており、百四十七名の部内通訳要員が、十四言語に対応できるとのことでありました。しかし、多言語翻訳機能つきのタブレット端末が導入されれば、交番だけでかなりの相談に対応できる上、対応時間の短縮が期待をされます。  そこで、来年度の予算により交番などへ翻訳タブレットを八台配備するという計画とのことですが、我が会派は、この台数では到底不十分ではないかと推測するものであります。このことについて、今後の配備計画も含め、警察本部長の見解をお聞きします。  あわせて、十四言語に対応できる百四十七名の警察官の言語研修はどのように実施されているのかお聞きします。  二点目に、一一〇番通報における多言語対応について警察本部長にお聞きします。我が会派は、一一〇番通報を受けている警察本部通信指令室の視察も実施しました。昨年、本県の一一〇番通報は約五十五万件あり、毎年減少しているものの、外国人からの通報は千三百九十六件で、前年比プラス二百四十二件と増加傾向にあるとのことでした。そのうち三十七件は日本語が通じない方からの通報とのことでありました。日本語で意思疎通ができない方からの通報については、さきに述べた県警察本部通訳センターとの三者間通話で対応することになっております。  そこで、この三者間通話は、緊急性の高い一一〇番通報に即応できているのかお聞きします。  三点目に、消防における多言語対応と共同指令センターの設置について知事にお聞きします。知事は、二〇一四年十二月議会において、県内二十五の消防本部のうち、一一九番通報の多言語対応の対策を講じているのが十五本部であるとした上で、翻訳アプリケーションの活用などの先進事例を情報収集し、市町村や消防本部に情報提供をしていきたいと答弁されました。  そこで、県内二十五消防本部における一一九番通報の多言語対応の進捗状況はどのようになっているのかお聞きします。  また、我が会派は、二月十六日に筑後地区の八消防本部の共同指令センターである筑後地域消防指令センターの視察も実施しました。当センターは昨年四月に運用開始され、通報者の位置を地図上に即座に表示できる最新の機能を有しております。さらに、特筆すべき機能として、一一九番通報に対して十カ国語に対応可能な多言語対応システムも有しております。さらに、福岡市消防局と福岡都市圏合わせて五消防本部も、二〇一七年度中をめどに、管轄する六市八町からかけられた一一九番を一元的に受理し、発信地に近い消防本部に出動指令を出す共同指令センターの運用を始めるとのことであります。こうしたすぐれた共同指令センターを設置することで、一一九番通報の多言語対応についても進捗するものと考えられます。  そこで、県内の残る十二の消防本部にも共同指令センターの設置を助言するべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  四点目に、訪日外国人への緊急通報番号の周知についてであります。現在、外国人用に一一〇番通報を紹介するパンフレットが、福岡空港の国際線の連絡派出所に置いてあります。それはこれです。しかし、このパンフレットでは、我が国の一一〇番通報システムの歴史や世界の緊急通報番号など余分なものが多過ぎる上、サイズが大きく、不便と言わざるを得ません。また一一九番通報についても、総務省が咋年四月に英語表記のパンフレットを各消防本部に配布をしておりますが、一一〇番のパンフレット同様、訪日外国人への周知が行き届いているとは到底言いがたい状況であります。  そこで、一一〇番と一一九番をあわせて周知するカードを作成するなど、緊急通報番号の周知を図ることが必要と考えますが、知事並びに警察本部長の考えをお聞きします。  次に、教育問題について質問します。初めに、本県における特別支援教育のあり方について、教育長に六点お聞きします。  一点目に、義務教育における特別支援教育の現状についてであります。本県の小中学校における児童生徒の総数は、二〇〇六年度の四十三万五千四百七十一人から昨年度の四十一万九千二百九十人と、この十年で一万六千百七十九人、三・七%減少しています。一方、通常学級ではなく、特別支援学校、学級に在籍する児童生徒数は、二〇〇六年度の五千五百五十七人から昨年度の一万二千二百二十二人と、この十年で六千六百六十五人、二・二倍に増加をいたしております。この間我が会派は、二〇〇六年六月議会で岩元一儀議員が、二〇一一年九月議会で守谷正人議員が、二〇〇五年四月の発達障害者支援法の施行を受け、発達障がい児を含めた特別支援教育のあり方をただしてきました。当時の教育長は、発達障がいを含め障がいのある子供に対して、一人一人の教育的ニーズを正確に把握した上で、一貫して的確な教育的支援を行うことが必要であるとの考えを示されました。  そこで、特別支援学校、学級に在籍する児童生徒の急増の要因の一つとして、障がいのある子への支援体制が整えられたことで、特別支援学校、学級の選択につながったということが考えられますが、児童生徒数全体の減少にもかかわらず、特別支援学校、学級に在籍する子供たちは逆にふえているという現状について、教育長はどのように認識をされておられるのかお聞きします。  また、今年度県内の公立小学校の入学対象児童は、政令市を除いて二万四千五百九十五人でしたが、そのうち通級指導に通う児童、特別支援学級と特別支援学校に通う児童は、それぞれ何人なのかお聞きします。  二点目に、公立小中学校における支援員の役割についてであります。我が会派は、障がいのある者とない者がともに学ぶインクルーシブ教育を推進するには、学級担任だけの力量に依存することには限界があり、通常の学級への支援員の配置と充実が重要と考えます。この支援員とは、発達障がいや身体障がいの児童生徒が、通常の学級で学べるよう学校生活を支えたり、授業中は黒板の字を読み上げることや先生の話を繰り返して学習を支える役割を担います。教員免許は必要なく、資格要件や雇用条件については、各自治体で決めることになります。  そこで、障がいのある子の学習面と学校生活を保障する役割を担っている支援員をどのように評価しておられるのか、教育長にお聞きします。  三点目に、公立小中学校への支援員の配置についてであります。昨年二月議会において、我が会派の渡辺美穂議員は、支援員を積極的に配置する市町村もあれば、ほとんど配置をしない市町村もあるなど、対応はばらばらになっていると指摘をしたところであります。これに対し教育長は、毎年支援員の配置を市町村に要請し、積極的配置を働きかける、また特別支援教育の推進体制の充実に向けた働きかけを行うと明確に答弁をされておられます。しかし、さきに述べた千百九十一人の支援員の配置は、飯塚市と八女市に五十二人、宗像市に五十人配置されている一方で、川崎町のゼロ人を初め、十五市町村で支援員の配置が五名以下となっており、市町村の支援員の配置に大きな差が生じております。  そこで、毎年度、各学校は市町村教育委員会へ支援員を要望しているとのことですが、県教育委員会はこの要望状況について把握しておられるのかお聞きします。  その上で、要望したにもかかわらず、支援員が配置されなかった学校では、どのような特別支援教育が行われ、その対応で十分なのかお聞きします。  四点目に、県立高校への支援員の配置についてであります。国は、県立高校に支援員を配置するために、二〇一一年度に初めて五百人分の地方財政措置がなされ、本県は二〇一五年度から支援員の配置を行いました。しかし、この予算は使途を限定する補助金ではないため、教育委員会の支援員の配置に対する積極性が問われるところであります。昨年度、本県の県立高校九十五校のうち、支援員の配置を要望したのは十二校の一三%で、そのうち実際に支援員が配置されたのはわずか五校であります。  そこで、小中学校の現場の支援員のニーズの高さを鑑みると、支援員の配置の要望が十二校しかないというのは常識では考えにくいと言わざるを得ませんが、要望を出しにくい状況はなかったのかお聞きします。  また、昨年度支援員の配置を要望した十二校のうち、なぜ五校にしか配置をされなかったのか、その理由をお聞きします。  その上で、支援員が配置されなかった七校では、どのような特別支援教育が行われているのかお聞きします。  さらに、支援員の身分や労働条件はどのようになっているのかお聞きします。  五点目に、障がいのある子供の就学先の決定についてであります。文部科学省は、二〇一三年九月に各都道府県教育委員会に対して、学校教育法施行令の一部改正についてを通知しました。この通知により、就学基準に該当する障がいのある子供は特別支援学校に原則就学するという従来の就学先の決定の仕組みが改められ、市町村教育委員会が、本人、保護者に対して十分に情報を提供しつつ、本人、保護者の意見を最大限尊重し、本人、保護者と市町村教育委員会、学校等が必要な支援について合意形成を行うことが原則とされました。  ところが、先般、県内のある一般市に住んでおられる方から、次のようなお話をお伺いしました。知的障がいのある我が子を、地元の小学校の特別支援学級に入学させたいと思っていたにもかかわらず、教育委員会との面接で、この小学校は来年度特別支援学級を閉鎖しますので、特別支援学校に行ってくださいと言われたとのことであります。このことにどうしても納得がいかず、この学校の特別支援学級に現在通っておられるお子さんのお母さんに会いに行き、このことを話すと、このお母さんも、現在二名いる特別支援学級の子のうち一名が卒業するので、来年は閉鎖します、あなたのお子さんは特別支援学校に行くようにと言われたことがわかりました。その後、この二人のお母さんは、教育委員会に直接かけ合い、特別支援学級の存続を認めさせ、二人とも地元の小学校に入学ができたとのことであります。しかし、たとえ一人であったとしても、要望があれば、特別支援学級を設置している学校もあると聞いております。  そこで、特別支援学級の設置基準はあるのか、それぞれの市町村がそれぞれの考えで設置しているのかお聞きします。  六点目に、教育支援委員会への移行についてであります。さきの通知では、就学指導委員会が小学校入学時点で障がいのある子とない子とを分ける、これまでの就学指導のあり方を見直し、本人や保護者の意思に基づく就学などを支援するための機能強化と、それにふさわしい教育支援委員会などへ名称変更することが適切であるとされております。  そこで、この教育支援委員会への移行を既に行った市町村は、現時点で幾つあるのかお聞きします。  また、いまだ移行されていない市町村に対しては、早急に移行されるよう指導すべきと考えますが、教育長の見解をお聞きします。  あわせて、普通学級を希望している児童生徒が、意に反して特別支援学級に入学をさせられたり、特別支援学級を希望している児童生徒が同様に特別支援学校に行かされる事例がなかったか、県内の特別支援学校や学級に通っている子供たちの保護者全員に対して、本人や家族の意思がきちんと尊重されて就学しておられるのか、調査を行うべきと考えますが、教育長の考え方をお聞きします。  最後に、本県の教員採用試験の見直しについて教育長にお聞きします。県教育委員会は、去る二月十四日、来年度の公立小中高校の教員採用試験の受験年齢を見直し、現行の採用試験では、現職教員や講師経験者では五十歳、一般では四十歳とされている受験年齢の上限を引き上げ、一律五十九歳以下まで受験できるようにすると発表しました。昨年九月議会の代表質問において、我が会派の大橋克己議員が、経験豊かな正規教員を確保し、多様な人材や優秀な人材を確保する制度の改正が必要であり、既に教員採用試験において十八県十政令市が年齢の上限を撤廃していると指摘した経緯があり、来年度から教員採用試験の受験年齢の上限が引き上げられたことを大いに評価するものであります。さらに、今回の見直しでは、現職教員に対しては実技試験、模擬授業、専門科目等のテストが免除されることになりました。このことで、ほかの都道府県に勤務する現職教員の本県へのUターン、Iターンが増加することが期待をされます。しかしながら、今回の見直しでは、講師に対しては前歴や経験を考慮した試験科目の免除の拡大などの見直しは一切なされておりません。  そこで、学校現場で現職教員同様、現に学校教育を担っている講師についても、現職教員同様の採用試験科目の免除を検討すべきと考えますが、教育長の率直な御意見をお伺いします。  以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 30 ◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。 31 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。  まず初めに、ピクトグラムの普及促進でございます。県におきましては、佐々木議員の前回の御質問からこれまでの間に、ピクトグラムや多言語での告知文例などを掲載をいたしました観光事業者向けのマニュアルを作成し、またそのマニュアル等を活用したインバウンド受け入れセミナーの開催などを取り組んでまいりました。こうした取り組みもありまして、外国人観光客を受け入れている宿泊施設におきまして、入浴マナーやトイレの使用方法等についてピクトグラムの導入が広がりつつあるところであります。二〇一九年のラグビーのワールドカップ、二〇二〇年のオリンピック開催を控えまして、今後福岡県を訪れられる外国人観光客が、さらにふえていくことが予想されます。外国人観光客の皆さんが安全で安心して快適に観光を楽しんでいただけるよう、引き続きピクトグラムの普及促進に取り組んでまいります。  次に、国の観光活性化標識ガイドラインにのっとった案内標識の整備についてお尋ねがございました。まず、公共施設における案内標識でございますけれども、県関連の公共施設でございます大濠公園、九州国立博物館におきましては、多言語表記やピクトグラムの導入など、国のガイドラインに沿った案内標識となってございます。また、たくさんの外国人観光客が訪れられております太宰府市におきましては、太宰府天満宮、竈門神社など周辺の観光スポットの案内標識につきまして、同様の整備を進めているところでございます。県といたしましては、こうした先進事例を市町村や観光協会、観光事業者で構成をいたしております福岡県観光推進協議会、そういった場におきまして情報提供をし、外国人観光客の皆さんにとってわかりやすい案内標識の整備というものを促してまいります。  道路案内標識につきましては、このガイドラインに沿って改正がなされました法令に従いまして、九州国立博物館や明治日本の産業革命遺産を構成する施設などの周辺道路におきまして、関係する国、市町村と連携して、外国の方々にわかりやすい標識の整備を、今進めてまいりました。平成二十九年度には、世界遺産登録を目指しております「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の周辺道路での整備を進めることといたしておりまして、順次、他の主要な観光地にも拡大をしてまいります。  次に、消防本部における一一九番通報への多言語対応でございます。県内二十五消防本部のうち、日本語によるコミュニケーションが困難な方からの一一九番通報の対策を講じております本部は、ことし一月末現在におきまして二十二本部となってございます。県といたしましては、残り三つの本部におきましても、こうした先行事例を示しながら、多言語対応というものを促してまいります。  次に、消防本部の共同指令センターの設置についてでございます。共同指令センターの設置を予定をしていない十二の消防本部のうち、筑紫野太宰府消防本部及び糸島市消防本部、この二つの本部は、それぞれの消防指令台の更新時期に合わせまして、福岡都市圏の共同指令センターに加わる方向で現在検討が進められております。残りの十の消防本部につきましては、共同指令センターの設置、そのメリットを説明をし、共同指令センターの設置について課題や効果など、これらについて検討を行うよう働きかけをしてまいります。  次に、一一〇番と一一九番の周知でございます。現在、県におきましては、外国人観光客の方々に対し、観光地でのマナーやトイレの使用方法等をわかりやすく漫画で伝えるポケットサイズのリーフレットを作成しているところでございます。このリーフレットには、緊急通報番号であります一一〇番あるいは一一九番につきましても、わかりやすく掲載することといたしております。このリーフレットをことしの四月から空港や駅の観光案内所などで配布をするとともに、クルーズ船客に対しましても、移動のバスの車内でこれを配布するなど、積極的にその周知を図ってまいりたいと考えております。 32 ◯副議長(佐々木 徹君) 城戸教育長。 33 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 特別支援学校在籍者数等の増加についてでございます。近年、障害者基本法の改正や特別支援教育の理念が導入された学校教育法の改正など、障がいのある子供への支援に関する法制度が整備され、特別支援教育の充実と普及が図られたことから、教育上の特別な支援を求める児童生徒のニーズが増加しているものと考えております。なお本年度の小学校段階の入学者のうち百八十二名が特別支援学校、五百九十二名が特別支援学級に在籍し、二百十五名が通級指導の対象となっております。  特別支援教育支援員の役割についてでございます。小中学校における特別支援教育支援員は、日常の授業等において、教員と連携しながら障がいのある児童生徒への日常生活上の介助や安全確保、学習活動の支援などを行う職員であります。こうした支援員を適切に配置することは、教員の子供と向き合う時間の確保や保護者の負担軽減等の観点から有意義であり、重要な役割を果たしていると考えております。
     小中学校における特別支援教育についてでございます。県教育委員会では、支援員の配置に関する小中学校からの要望状況については承知しておりませんが、今後教育上の特別な支援を要する児童生徒の実態、あるいは校内体制の整備状況等の把握に努めてまいります。また、対象となる児童生徒が在籍する小中学校においては、支援員の配置がない学校を含めまして、指導上の工夫やチームティーチングなど教員による適切な配慮のもとに、その障がいの状態に対応した教育が実施されるよう研修や学校訪問の充実を通じて支援してまいります。  県立高校における特別支援教育支援員の配置要望の調査についてでございます。県立高校への配置は、昨年度から開始いたしました。配置の要望については、全ての県立高等学校長宛てに制度の趣旨を十分に説明した上、文書で照会を行っており、要望を出しにくいような状況はなかったものと考えております。  県立高校における特別支援教育支援員の配置が五校にとどまった理由についてでございます。特別支援教育支援員の配置に際しては、前年度の実績をもとに五名分の予算を措置した上で、必要性が高いと判断した五校に配置を行ったものであります。  特別支援教育支援員の配置されなかった七校における対応についてでございますが、七校のうち三校については、特別支援教育ボランティアを配置し、特に個別の支援を必要とする生徒への対応を行っております。また、残りの四校については、特別支援教育に関する校内委員会や特別支援教育コーディネーターを中心とした校内体制のもと、支援を必要とする生徒一人一人に対応した教育支援計画を作成するなど、きめ細かな指導や支援を組織的に行っております。さらに来年度からは、高等学校等通級指導推進事業の実施を予定しており、この中で、通級指導を受ける生徒に対して、在籍学級における日常的な支援を行う支援員四名を新たに配置することとしております。  県立高校の特別支援教育支援員の身分や労働条件についてでございます。支援員には二つの形態があり、生徒の介助を行う支援員については、地方公務員法上の臨時的任用職員で、勤務日数は月二十一日、勤務時間は一日につき七時間四十五分となっており、一勤務日につき六千九百三十円及び通勤手当相当額を支給しております。また、生徒の学習支援を行う支援員については、地方公務員法上の非常勤職員で、勤務日数が月二十一日、勤務時間は一日につき五時間とする形態と、勤務日数が月十五日、勤務時間は一日につき七時間の形態があり、いずれも一時間につき千五百五十円及び通勤手当相当額を支給しております。  特別支援学級の設置基準についてでございます。特別支援学級の設置に当たりましては、一人一人の障がいの状態や教育的ニーズに応じた適切な指導とともに、社会性を身につけていくことも重要であることから、新規で設置する場合、一学級の児童生徒数が三名以上であることを目安としております。しかしながら、市町村教育委員会が必要性を検討の上、申し出があれば、二名以下の場合についても柔軟に対応しております。また既に設置されている特別支援学級で、児童生徒数が二名以下となった場合においても継続できるよう対応をしております。  就学指導委員会の機能強化についてでございます。教育支援委員会への名称変更については、いまだ約半数にとどまっておりますが、全ての市町村教育委員会において、障がいのある子供の就学に関する専門的知識を有する人材を委員に任用するとともに、入学後も継続して助言等が得られるようにするなど、就学手続に係る制度改正の趣旨に沿った機能強化が図られております。なお、名称につきましては、今後保護者等の理解を促進する観点から、障がいのある子供への教育支援機能を適切に示すものへの移行を促してまいります。  特別支援学校等への就学先決定のあり方についてでございます。障がいのある子供の特別支援学校または特別支援学級への就学に当たりましては、県教育委員会として、事前に障がいの程度や保護者の同意の有無を市町村教育委員会に確認をしておりますため、保護者の意向に反して就学させている実態はないものと認識をしております。なお、インクルーシブ教育システムの構築のためには、特別支援学校、特別支援学級、さらには通常の学級等が連続性のある多様な学びの場として適切に選択されることが重要であると考えております。このため、今後とも市町村教育委員会に対し、就学後の状況の変化に応じて、これらの学びの場の見直しが柔軟になされるよう指導してまいります。  講師に対する教員採用試験の見直しについてでございます。これまでにも一定の講師経験を有する者については、第一次試験における教職教養試験を免除するとともに、受験年齢についても五十歳以下とするような緩和を進めてまいりました。来年度は、受験年齢を五十九歳以下とし、これまで受験できなかった講師経験者を含めて幅広い年齢層の人材が受験できるものと考えております。採用試験科目の免除につきましては、引き続き検討してまいります。 34 ◯副議長(佐々木 徹君) 樹下警察本部長。 35 ◯警察本部長(樹下 尚君)登壇 初めに、交番等における多言語翻訳機能つきタブレット端末の配備計画についてお答えをいたします。県警察では、日本語を話せない外国人の地理案内や遺失届等に迅速、的確に対応するため、多言語翻訳機能つきタブレット端末を交番等へ配備する経費を、平成二十九年度当初予算案に計上しているところであります。平成二十九年度における配備箇所につきましては、県内の主要観光地を管轄する交番等八カ所でありますが、今後は配備効果の検証を行った上で配備の拡大について検討を行ってまいりたいと考えております。  次に、一一〇番通報における三者間通話についてお答えをいたします。県警察では、日本語が話せない外国人から一一〇番通報を受けた場合は、まず発信地を特定するシステムを活用して、直ちにパトカーや交番等の警察官を現場に派遣し、通報者の安全確保や事案対応を行っております。それと並行して通訳センターと連携をし、三者間通話を行うことで詳細な通報内容を把握するなど、外国人からの緊急性の高い一一〇番通報に即応しているところであります。県警察におきましては、引き続き外国人からの一一〇番通報に対し、三者間通話の活用等による迅速、的確な対応に努めてまいります。  最後に、緊急通報番号の周知等についてお答えをいたします。県警察といたしましては、一一〇番通報に限らず、一一九番など、外国人への緊急通報番号の周知の重要性は認識しているところであります。今後、知事部局を初め関係機関、団体と連携を図りながら、日本を訪れる外国人の安全確保や利便性の向上に努めてまいります。 36 ◯副議長(佐々木 徹君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は三月六日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 五十九分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...